Vol.0244 「NZ・金融編」 〜銀行チャチャチャ その2〜

お客に勧めた普通預金口座の金利が即答できなかったステラ。口座の種類は全部で6、7種類、しかもその中には金利のつかない小切手支払い用の当座預金口座や高金利がつく貯蓄口座も含まれているわけですから、私が求めている固定金利の普通口座はいくつもないはずです。その金利が移民業務とはいえ所詮はプライベート・バンキング業務の一環である担当者からすぐに出てこないとは、少なからず驚きました。

「細かいところまでわからなかったら4%台に乗ってるかどうかだけでもいいんだけど」と助け舟を出したものの、それにさえ彼女は答えられませんでした。そして、「ちょうどいいものが毎朝配られてるの。ちょっと待ってて」と言って、部屋を出て行きました。「毎日変わるわけでもない普通口座の金利くらい、窓口業務の人だって知ってそうなものだけど、ニュージーランドじゃそうはいかないのかなぁ?」と思っていると、彼女が数枚のプリントを持って戻ってきました。そして得意げに、「さぁ、これに全部書いてあるのよ。え〜と、この口座の金利は?」と言いながら目の前に広げました。

一緒にのぞき込み、思わずギョッ!すぐに目に入ったのが大口預金者への定期預金金利で、ライバル行の金利も行名とともに記載されていました。広告やパンフレットの片隅に「○○○万ドル以上のお預け入れの場合はご相談くさい」などと書かれている場合、銀行と直接支払い金利を交渉できるはずですが、その時に出す、言ってみれば機密事項の金利一覧のようでした。「こっ、こんなもの外部に見せちゃっていいの?」と内心大いに驚きましたが、ものは試しに「この紙もらってもいいかしら?」と尋ねると、「ええ、どうぞ。私は今朝もう見たから」と、実にあっさりOKが出ました!

これではスーパーマーケットが広告を打つ前に、何をいくら安くするかを消費者に漏らし、手の内を明かしてしまうようなものです。私たちは機密を知ったところで大口預金者でも何でもないので活かすことはできませんが、他行との比較が一目瞭然で、目安に使うことはできます。もちろん、昨今はインターネット上でかなりの情報が公開されているため、いろいろ調べれば機密でもないかもしれませんが、それが一枚の紙に収まっているとなれば、やはり価値があります。

しかし、私が尋ねていた普通預金口座の金利は記載されていないようでした。いかにも内部資料という感じで、口座名などの文字がほとんどない数字の羅列なので、もしかしたらどこかに書いてあったのかもしれませんが、わかりませんでした。ステラはそれでも「おかしいわ。どこかにあるはずなんだけど・・・」と言いつつ数字を追っていましたが、私はあきらめました。普通口座の金利は基本的には法定金利(公定歩合に相当)に連動し、変わっても年に数回のはずです。しかも常に公開されていますから、毎朝送られてくる資料にわざわざ書き込む可能性はかなり低いと思われます。この紙はそれよりももっと戦略的なもののようでした。

埒が明かないまま、「まあ、4%を大きく下回ることはないだろう」と、その口座を開くことにしました。小切手が使えるということなので当座預金と普通預金を合わせた一種の総合口座のようです。キャッシュカードも午後にはできるというので、送金したお金を自由に使うという当初の目的は達成されます。私たちは必要書類を埋め、後日の小切手帳の送付も頼み、そのままランチに出ました。金融都市・香港の銀行サービスに比べるとかなり頼りないものの、ここではこんなものなのかもしれません。

約束の時間に戻ると、すでにキャッシュカードができていました。真新しいカードを手にしてまずは一安心。「良かったらクレジットカードも申し込んでみて。それから自動車ローンに、家財ローン、そのうち不動産ローンもどう?いずれは家を買うんでしょう?」と、ステラからパンフレット一式を手渡され、私たちは和やかに別れました。口座ができた。キャッシュカードが手に入った。今日のところはこれで良し♪

帰りがけにスーパーに寄り、○×銀行のATM機を見つけたので、さっそく夫がカードを試してみました。暗証番号を押して「普通預金口座」を選択したものの、「残金がありません」という表示。共同口座なので私のカードでも試してみましたが、結果は同じでした。「口座が新しすぎて機能してないんだろうか?」と、コンピューター処理である以上そんなことはあり得ないことを承知の上でそう言いながら、先に買い物をすることにしました。レジで再びEFTPOS(デビットカード端末)を試したものの、やはりアクセスできませんでした。これでは口座があってもお金が使えません。

「もしや!」と思い再びATM機に戻り、暗証番号の後に「当座預金口座」のボタンを押すと、果たして残金が全額出てきました。「やられた!」とっさに私は声を上げました。どうやら私たちは金利がまったくつかない口座を開いてしまったようです。彼女は「小切手が切れる」と言っていましたが、当然です。当座預金口座はそれ専用なのですから。しかし、高金利のNZ、たった1日でも金利が4%ならば預金100万円ごとに税引き前で110円の金利がつきます。
放っておいたら大変な損失です。「やれやれ」と夫と顔を見合わせ、すぐに対応に出ることにしました。(つづく)

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「マヨネーズ」 子どもの春休みもいよいよ折り返し。始まる前は「アレをして、コレへ行って・・・」などといっぱしに思っていましたが、いざフタを開けたら近所の子と遊びまくり!しかし、すでにガラス2枚を割り、後半はお出かけモードに強制シフト!
(←「あ〜らら。」これが1枚目・・・トホホ)

西蘭みこと