Vol.0254 「NZ・金融編」 〜銀行チャチャチャ その8〜

永住権がないにもかかわらず「クレジットカードを作りたい!」という、私の無謀な申し出に乗ってくれた凸凹銀行のディーン。本店の担当者とも話してくれ、「明日、カード部門から電話がいくと思う」と、かなり含みを残すことを言ってくれました。門前払いだけは免れたようです。やった♪ 朝から携帯電話のスイッチをしっかりオンにし、連絡を待ちました。

ところが、電話はありませんでした。その夜、「昨日の今日だから、さすがに処理が間に合わなかったんじゃないか?」と夫婦で話し、さして気にも止めませんでした。一方で、すでに申し込んである凸凹のテレフォン・バンキングを試してみようと、専用ラインに電話を入れてみました。フレンドリーな感じの男性オペレーターが出てパスワードを言うと、「OKです。今度はアクセスコードをどうぞ」と言われました。思わず「それって何ですか?」と聞くと、「口座を開いた時に決めたはずですが」と言われました。

確かにディーンが、「これはパスワードとは別の大事なものなので、絶対に忘れないように」とアドバイスしてくれたパスワードのようなものがありました。「二重のセキュリティー」という説明を受けました。そこで、ある日本語のローマ字表記を使いました。もちろん思い出したのでスベルをそのまま言うと、「う〜ん、ちょっと違いますね」という思わぬ返事。「"ちょっと"って?」「ほとんど合ってるんですが・・・これ以上は言えませんが・・・。」もう一度その日本語を繰り返してみましたが、答えは"Almost"で、やはり完全ではありませんでした。

私の言っている日本語のスペルに誤りはないので、コンピューターへの入力が間違っていたようです。鮮明に覚えていますが、私は口座開設の申請用紙にあったこの欄の意味を把握しかね、空欄のままにしておきました。あとでディーンが趣旨を説明してくれながら、自分で記入していました。聞き慣れない日本語のローマ字表記なので、何度か声に出して私と確認した上で入力していました。それが間違っていたのです!

「入力ミスのようだわ。どうすればいいのかしら?」「今日はアクセスできませんね。」「そんなー!そちらの入力ミスで、自分の口座にアクセスできないんですか?せめてどの字が違っているか教えてもらえませんか?」「それはできません。個人情報ですから・・・」「はぁぁ?本人が知ることができない個人情報っていったい何なの?」と思いながら思案していると、「わかりました。今日だけはOKですが、必ず口座を開いた支店に戻ってコードを変更してください。」オペレーターは拍子抜けするほどあっさりと折れ、改めて"Yes, Mrs.Sailan. How may I help you?"と言いました。「二重のセキュリティー」も所詮はこの程度です(笑)

電話の目的はテレフォン・バンキングを試すことだったので、特に頼むこともなく、残高照会をしてみることにしました。「今日はクレジットカードの利用料15ドルが引き落とされてますね。最新の残高は・・・」と、相変わらずフレンドリーなオペレーターが明るく言葉を続けます。「ちょっと待って!クレジットカード?利用料?カードが取れたのかしら?」「そのようですね。」「いつですか?」「今日です。」

取れた!永住権も給与証明もないまま、ニュージーランドに来て2週間も経っていないモーテル暮らしで、クレジットカードが取れた!やったー♪ しかし、喜びもつかの間、すぐに現実に立ち返り、「どうもありがとう。でも、私たちの口座は"ABC"だから、カード加入後半年間の利用料は免除されるはずでしょう?」と、ディーンにしたのと同じ質問をすると、「どこでその話をお聞きになりました?」と、これまた同じ返答!

「口座解説のパンフレットの中の"ABC口座"の欄に書いてあります。25ページの、右側の真ん中です」とディーンに伝えた内容を繰り返すと、「ちょっとお待ち下さい」とパンフレットを取りに行った気配。1、2分で戻って来るや、「すいませんでした。確かにそう書いてありますね。すぐにこの15ドルは繰り戻します。申し訳ありません。」と丁寧に言われました。申請から丸1日でカードが取れ、15ドルが戻り、もはや文句はありません。私も丁重にお礼を言って電話を切りました。やったー♪♪

翌日、さっそく凸凹に出向きました。ディーンに「カードが取れたの♪ありがとう」と言うと、「そうらしいね」とニコニコ顔。「いつ受け取れる?ここで受け取ることにしてたでしょう?」と言うと、「ああ、もう来てるはず。ちょっと待ってて」と軽く言って奥に引っ込みました。手ぶらで戻って来ると、「おかしいな。もう来てるはずなのに」と言いながら、今度はカウンターの上をガサゴソ。「サイン前のカードを、多数の人が出入りするこんなカウンターの上に置くのぉ?」と内心思いながらも待ちました。しかし、見つかりませんでした。けっきょく、「まだ来てなかったかも・・・」と、話はうやむやになり、残念ながらその日は念願のカードを手にできませんでした。
(つづく)

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「マヨネーズ」 中国が9年ぶりの利上げに出ました。1年物定期預金の基準金利で0.27%の引き上げ。世界的な0.25%刻みからズレた、なんとも中国らしい半端な幅(笑)一方で、ニュージーランドも今年6度目(!)の利上げに出ました。準備(中央)銀行は前回の利上げ時に「年内にあと2回の利上げ」とインフレ警告発言をしていたので、「逆に2回はないだろう」と踏んでいたら(市場参加者はこの手の警告にあえてチャレンジしないもの)、案の定、今度は「年内打ち止め」発言に。世界の資金フローが大きく変わるかも。

西蘭みこと