Vol.0284 NZ・生活編 〜キウイのまどろみ〜

新聞を読んでいて愕然としました。ACニールセンがアジア太平洋地域28ヶ国、1万4千人を対象に行った最新の調査結果によれば、ニュージーランド人(調査対象500人)は3割以上が1日9時間以上の睡眠をとっているというのです! 「9時間以上ぉぉぉ?!」と、思わず声に出してしまったほどです。1日5時間も寝ればいい方の私の2日分ではありませんか! 本当にビックリ!

しかも、彼らの2割は10時までに、3割以上は11時までに就寝しているのです(ちなみにオーストラリア人はこれよりやや早いとのこと@_@!) うちの場合、9時に子どもがベッドに入り30分本を読んで9時半消灯なので、10時までに寝るということは、ほぼ子ども一緒に床に就くことを意味します。そんな生活を送っている人が2割も、それより1時間遅い人も含めれば半数以上に達するとは、ますます驚きです。

12時過ぎまで起きている人はたったの2割で(調査対象28ヶ国平均では5割)、いかに自分たちがこことは違うライフスタイルで暮らしているかを思い知らされました。 キウイは早寝な分、早起きでもあります。ほとんどが7時までに起床しており、4割が目覚ましを6−7時の間にセットしています。これだけはうちも一緒です(笑) 7時半には子どもが家を出るので、6時半にはみな起き出します。

年末にかけて隣家が2ヶ月近く増改築をしていました。その間、大工、配管工、レンガ職人、ガラス屋、瓦職人、配電工、ペンキ屋と、いろいろな人が時期をずらして出入りしていましたが、雨でもない限り毎朝8時には誰かがラジオをつけ、鼻歌まじりに仕事を始めていました。ただし、彼らは3時半から4時には帰っていきます。時間帯といい、残業のない仕事ぶりといい、「子どもの学校と一緒ね」と思わず笑ってしまいました。
(←お隣の増改築。キッチンからコヒマラマ方面が見えなくなってしまったのはちょっと残念)

仕事と言えば「9時−5時」が標準の日本と比べ、始めも終わりも1時間前倒しです。調査対象国の中で一番睡眠時間が短かったのは奇しくも日本人でした。1日当たり6時間以下だった人が4割以上に達し、西蘭家は日本人としてはかなり平均的でした。

記事を読んで、漠然と感じていた"キウイのゆとり"の秘密を、垣間見た気がしました。9時間以上寝ている人に、5時間も寝ていない身が「かなうわけない」と感じました。何がどうかなわないのかを言い表すことは難しいのですが、"奥行き"のようなものとでもいいましょうか? 私はここ数年5時間睡眠を続けていますが、特に疲れることもイライラすることもないと思っています。しかし、ふとソファで居眠りをしたり、子どもを叱ったりした後に、「無理してるんだろうか?」と不安を感じることもあります。キウイ並みに寝ていればそんな疑問は生じないでしょう。

その辺が"奥行き"なのです。 ここでも常々言っているように、キウイたちが困っている人やちょっとした助けがいる状況下に、ごく自然に惜しげもなく見せる一手間二手間。「この余裕はどこから来るんだろう?」とずっと思ってきました。早寝早起きという自然に即した暮らしぶり、その中でしっかりと確保された眠りの時間が、源の一つになっているのではないかと、今回改めて思いました。少なくとも十分な睡眠は、それが不足しているより精神的なゆとりにつながることでしょう。ゆとりは人を堂々とさせ、屈託のない朗らかな笑顔や颯爽とした身のこなしにもつながるかもしれません。

「早く寝よう。」 新聞を置いて、つらつらとここのライフスタイルを考えあぐねていくうちに、2時前後まで起きていることがなんだか空虚に思えてきました。起きている限り、やることはたくさんあります。本も新聞も読みたい、メールの返事も書きたい、子どもの宿題や学校のプリントにも目を通しておきたい、ビーズもやりたい、仕事の問い合わせもしたい、香港に電話したい・・・。しかし、それらはきりがなく、自分の中で「せめて2時には寝よう」と線を引いているので、そこで終わるまでの話です。

「その線をせめて1時間、できたら2時間前倒しにして、その日に終わらなかったことは"残業"せず、キウイのように翌日に回そう。」と、真剣に思いました。「あれもこれも」と時間に欲張りになるよりも、"奥行き"そのものが欲しくなりました。これを機に、限られた時間をむさぼるように食い尽くす漆黒の眠りを卒業することにします。人生を豊かにすると言われる夢も見ず、ただただ身体を横たえていた時間に別れを告げ、眠っている間に好奇心旺盛な魂が遠いところまで旅していける時間を作ってあげることにします。

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「マヨネーズ」 夢の効用についてはシルビア・ブラウン女史のたくさんの著書に詳しいので、ご興味ある方はぜひご一読下さい。今年の初夢はなんと1月13日でした。もちろん記憶していないだけで、眠っている間中、何らかの夢を見続けているはずですが、あまりに眠りが深いせいか、その日まで夢を見た記憶さえありませんでした。(本当はもう少し早く"何か"を見たのですが、「あっ!温だ」と思ったことしか覚えてませんTT)
遅い初夢では、自宅に見慣れぬガレージを"発見"し、入ってみるとガラーンとした部屋に改装されていました。長らく使われていなかったようで埃っぽく古びた印象。でも、「ここならビーズ部屋にできる♪」と私はホクホク。正面に大きなクローゼットが窓をさえぎるように立ち、その脇にレースのカーテンがかかった大きめの窓。カーテンをサッと開けてみると、隣の家の庭が目の前に広がり、鮮やかなキャンプ用品がたくさん広げて干してありました。「隣の芝は青い」ってことでしょうか? でも、けっこう幸せな想いで見つめていました。

西蘭みこと