Vol.0285 NZ編 〜キウイの幸せ〜

再び新聞で見つけたACニールセンのアンケート結果から。この記事は14日のバレンタインデーに掲載されたもので、「セックスはチョコより役に立つ」という、ちょっと挑発的な見出しでした。(こういうのが全国紙にサラッと載る国なのです^^;)しかし、よくよく読んでみると、ニュージーランドにおける男女関係(この国のことですから"同性関係"も入っていることでしょう)に関する、地道な調査(回答者1000人)の興味深い報告でした。

パートナーとの仲たがいでは最大の理由が、「話を聞かない、無理解」(全体の32%)でした。この他にも「一緒に過ごす時間の不足」、「仕事のプレッシャー」、「浮気」、「金銭問題」(特に世帯収入300万〜600万円の中流層で顕著)、「家事」(全体の17%、特に女性が指摘)などが挙がっており、「いずこも同じ(苦笑)」という印象。「なんの問題もない」との回答は全体の20%でした。

ケンカの際、半分以上が相手に怒鳴ったり叫んだりするそうで、かなり派手。ただし、これが「役に立っている」としたのはたったの6%で、派手にやり合ってもなかなか効果を上げていないのが現実のようです。脅しの次は賺(すか)しです。男性の3分の2は花やチョコレートを買って問題解決を図っており、半数が「役に立っている」と手応えを感じています。これでいくと、問題のかなりがチョコと引き換えにできる、「犬も喰わない」レベルなのかもしれません。

その後、「なだめ賺した後はコレ!」とばかりに、見出しにあった「セックス」が登場します。解決方法としては16位中13位と控え目ながら、実際は70%の人がこの方法を試しており(「じゃ、何でこんなに順位が低いの?」という疑問は置いといて^^;)、ほぼ60%が「役に立っている」と回答しています。これなら花やチョコも霞みます。特に問題を起こして責任を取らなくてはいけない側に限ってみると、実に90%が満足の意を示しており、相手をベッドで丸め込んではほくそ笑む様子が目に浮かびます。

ここまではフムフムと軽く読んできましたが、ここからは思わずググッと膝を乗り出してしまいました。回答者の65%が「パートナーがいる(既婚を含む)」人たちですが、そのうちなんと70%が「関係は当初より、今の方がより満足」としており、幸せは新婚時代を遥かに超えて継続しているというのです。更に84%が、「今後も満足が続く、もしくは満足度がより上がる」と、非常に楽観的かつ自信に満ちた展望を持っています。 既婚者もしくはパートナーのいる人のうち、85%もの人が「人生に満足している」とし、独身者もしくはパートナーのいない人の68%を大きく引き離しました。満足度が更に高い、「非常に満足している」という項目では、既婚者の3分の1が、独身者もしくは一度も結婚したことのない人の17%が、「YES」とし、ここでもパートナーがいる人の充足度が顕著です。

これだけを見ていると「"結婚は人生の墓場"なんてどこの国の話?」と思ってしまうほどです。 「パートナーとの関係で何を重視するか」に、幸せの現実が表われているのも興味深いところです。44%が「経済的な保障」を、29%が「積極的な性生活」を挙げています。しかし、これらに対し「非常に満足している」との回答は、前者が28%、後者が29%とほぼ横並びです。お金に対しては重視していながらも満足度は今ひとつなのに対し、セックスは理想と現実が上手くマッチしているようです。いずれにしても全体の3分の2が「愛し合っていること」を「非常に重要」と認識しており、ほとんどの人が「その人のそばにいるとリラックスでき、自分自身でいられる」、「自分を等身大で見てもらえる」ことが長続きする愛へのカギと認識しています。

なんとスイートでラブリーな結婚生活! "仮面夫婦"だの"家庭内離婚"だのとは無縁のようにも見えます。ただし、見落としてはならない点は、この国がカップルの半分が離婚する「離婚大国」であることです。(2000年度の離婚率は47%、日本は33%) それにもかかわらず、既婚者の満足度がこれほどまで高いということは、キウイが結婚生活に対し、高い理想と熱い期待を持ち続けていることの反映でしょう。結婚に夢を、人生を託しているからこそ、失敗した場合は潔く別れ、新たなパートナーを探して再び幸せな結婚を目指すようです。

この情熱!このエネルギー!この一途さ! 忘れていたものを呼び覚ましてくれるようです。誰もが抱いていたであろう新婚当初の大きな夢。それがキウイの人たちの間では脈々と生き続けているのです。「結婚して幸せになる」という指輪を交換した時の感動が、結婚仲介業者の宣伝文句が、本当に生きているのです。
(←友人の結婚式から。幸せそうな彼らを見て改めて想うところがたくさんありました)

理想の結婚にたどり着けたなら、人生のすべてがそこに注がれるでしょうから、新聞記事が指摘するように「既婚者は最も幸せな人たち」ということにもなりましょう。そうあるために、「ニュージーランド人は関係継続に、バレンタインデーのみならず1年365日努力している」とも。「夫婦は長い対話」(サルトル)。まさに、これに尽きます。

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「マヨネーズ」 これでいくと、西蘭家も「今後も満足が続く、もしくは満足度がより上がる」というウルトラ楽観派で、キウイとは感覚が近いようです。念願の在宅SOHOが実現して、夫婦で一緒にいる時間ができ、結婚13年ぶりに知る相手の意外な一面! まったく性格が合わないこともよーくわかり(笑)、お互い新鮮な驚き@_@!の日々です。

西蘭みこと