Vol.0294 NZ・生活編 〜同じアホなら回さにゃソンソン♪

いやぁ〜、楽しい1週間でした♪ あまりの楽しさに連載中の「学校チャチャチャ」を没にして、この1週間のお楽しみを赤裸々に書いちゃいましょう♪(しかも連載で) 発端は2週間前の土曜日でした。「ママー、ちょっと来てー」という子ども達の大声に、外に出てみました。「見て見て、コレ!」と、彼らが言うのについて行くと、うちのレモンの木の下になかなかしっかりとした木製のキャビネットがポンと置いてあります。ベッドサイド・キャビネットのようです。中古品ですがかなり厚手の木でできたクラシックなデザインで、非常に程度のいい品です。「どうしたのかしら?」と驚く私に、「捨ててあるんだよ!もらっちゃえば・・・」と、子ども達が声を揃えて言いました。

「捨ててある? こんなにいい物が?」「そうだよ。隣の人が捨てたんだよ、きっと。」「うちのレモンの木の下に?」「"持ってっていいよ"ってことじゃない?」「でも、まだ使えるじゃない」と、あくまで訝る私。子ども達のご近所情報の精通度は相当なものなので、彼らの言っていることは多分正しいのでしょう。「いいじゃん、持ってこうよ」 私がこれぐらいのキャビネットをずっと探していたのを知っている温は、さらに背中を押します。「よし、もらっちゃおう♪」

彼と二人で持とうとすると、驚くほどの重さ。かなりいい木を使っているようです。たった5メートルをウンウン運んで、なんとかガレージに入れました。ちょうど出かけなくてはいけない時だったので、階段を持ち上げてサンデッキの上まで運び、さらに家の中に入れるほど時間がありませんでした。それよりも、「もし捨てたものじゃなかったら?」という後ろめたさがあって、家に入れる気にはなれませんでした。持ち主に返す事態となってもすぐ出せるよう、とりあえずガレージに運ぶことにしました。

というのもお隣はただ今増築中で、毎日のように施工業者が来ています。時には彼らのクルマがうちの前にまで停車しています。その日もレモンの木の横にはバンが停まっていました。「もしかしたら工事屋さんにあげたものなのかも。すぐにクルマにしまわずに、とりあえず置いてあったのでは?」 私はあくまでも懐疑的でした。しかし、そうではなく本当に捨ててあるのであれば、一目で気に入ったこんなにしっかりとした品、ありがたくいただくところです。その気迷いの結果がガレージでの収納でした。ガレージの外側にはガラス窓がついているので、誰かがのぞけばすぐにこれが見えるはずです。

数時間の外出から戻ると、誰かが「あのー、あそこに置いてあったキャビネット知りませんか?」と訪ねてきてもいいよう、心の準備を整えていました。しかし、誰も来ませんでした。翌日の日曜日も。次のきっかけは夫でした。「うちもそろそろ出すか?」 朝のジョギングから戻るや、彼はいきなり言いました。10日ほど前のことです。「出すって、何を?」と、きょとんとする私。「ゴミだよ、ゴミ。メドウバンク・ロードなんか、もうすごいぜ。知らないのか?」と夫。彼は毎朝6キロ近く走っているので、子ども同様ご近所に詳しいのです。その本人曰く、もうすぐ年に1回か2回だかの粗大ゴミ回収の日で、みんなここぞとばかりに家の前にゴミを積み上げているというのです。

そういえば、私も近所で一軒見ました。てっきりその家が改装かなにかしていて、業者が不要になった廃材を外にまとめているのだと思っていました。割れたシンクや便座を目にしていたからです。しかし、椅子やえらく古風な皮の旅行トランク、靴など、業者と関係なさそうなものもありました。「そうか、ゴミだったのか。あのキャビネットも!」 ごく近所では出している家がなかったので、私はまったく気付いていませんでした。

そして迎えた今週月曜日。たまたま界隈の家を訪ねる用があり、クルマで行くにはあまりにも近いので、歩いて行きました。10分もかからない距離です。その間、行けども行けども、各家の前の歩道と車道の間に伸びる緑地帯には、ゴミ、ゴミ、ゴミ・・・とたくさんのゴミの山ができています。「なんなのこれ?」 あまりの量と想像を絶する品々のこれまたビックリな捨て方に、ただただ口あんぐりの私。冷蔵庫が口を開けてひっくり返っていたり、「屋根?壁?」と思われるものが積み重なっていたり・・・。
(←どうやって運んだんでしょう?この冷蔵庫^^;)

しかし、その脇を通り過ぎていくうちに、なんだか嬉しくなってきました。かなりの家がゴミといえどもきれいに積み上げ、中には店を広げたように、芝の上に一つずつ丁寧に並べている家もあります。「ご自由にどうぞ」と言わんばかり。捨ててあるというよりも置いてあるという感じで、ゴミというよりは単にその家の不用品で、並べ方そのものが「必要な方はぜひお持ち帰りください」という強いメッセージを放っていました。ここまでされれば、ひょいっと手も伸びそうなもの。少なくとも何かを持ちかえるのに、抵抗はありません。特に私のように、パリ生活以来すっかりノミの市の楽しさを覚えてしまった身には何のためらいもありません。「よし!なんかもらって帰ろう!」そう思いながら、まずは用を済ますため、私は先を急ぎました。(つづく)
           (かなり心引かれたガーデニング用の一輪車があった家。夫の顔が思い浮かんでそのまま通り過ぎましたが^^↑)

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「マヨネーズ」   キャビネットはその後2週間経った今も、誰も探しに来ません。いまだにガレージに眠っています。いつの間にか子ども達がスケボ用のひざ当て、ヘルメット、ゴルフ用のグローブなどを載せ、すっかり自分たちのものにしています。さすがに私の中の後ろめたさも消え、そろそろ家に入れる頃合いかもしれません。お隣は大型のゴミに限ってうちの前に捨てる不思議な家で(笑)、通常の回収では持って行ってくれない物を何度か黙って片付けていましたが、今回のプレゼントで報われました♪

西蘭みこと