Vol.0336 NZ編 〜選挙に行こう!〜                        2005年8月17日

日本が総選挙なら、こちらニュージーランドもヘレン・クラーク首相率いる労働党第2期政権の任期満了に伴う総選挙を控え、選挙戦真っ盛りです。Xデーも最終的に9月17日に決定しました。絶大な人気を誇るクラーク首相ですが、党内はスキャンダル続き、医療・教育という長年の問題に加え、大幅な財政黒字を巡って減税か否かで野党・国民党と対立しており、3期目突入で長期安定政権となるのか政権交代となるのか、成り行きが注目されています。

2002年の前回選挙の時は香港からネットで動向を追うだけでしたが、今回は「在住1年以上の永住者」という条件を満たしており、一有権者としてしっかり臨みたいと思います。先週はそんな「キウイ有権者一年生」の私たちに打ってつけなテレビ番組、民放局TV3の生放送「リーダース・ディベート」を観ました。家族全員でソファーに並び、子どもも喜んで観てました(特に温)。在住の方はご覧になった方も多かったことでしょう。

首相を含む8大政党党首を仕切ったのは、しゃべりは久米宏と古舘伊知郎を足して2で割り、ルックスは髪を伸ばしたキウイ版ルパン三世といった、大人気キャスター、ジョン・キャンベルです。彼が会場の有権者100人を背に立ち、その前には党首が左右に4人ずつ立っているという、日本人にはびっくりなセッティング。「すぐに座りたがる日本人じゃ、こうはいかないだろうな〜。それに日本の政治家ってトシだし、"センセイを立たせっぱなしとは何事か"と周りから噛みつかれそう」と、妙なところで感心する一年生。

さらに驚いたことに、番組はキャンベル本人の堂々たる「基調演説」から始まりました。(3分46秒間で、スピーチとしてはどの党首よりも長かったとか)翌日の新聞にも「話した時間を得票に換算するとすれば、次期首相はキャンベル」と書かれたほど(笑) 視聴者は政治家の生の声を聞くために番組を観ているはずで、その人たちに向かって並みいるリーダーたちに先駆け、真正面からとくとくと語りかけるキャンベルとテレビ局の度胸、聡明さ、ユーモア、采配はなかなかのものでした。一年生は再び感心。

それだけではありません。支持政党を決めかねている会場の有権者100人には、「リアクター」と呼ばれる端末機が配られており、各党首が発言している間、ボタンを押し続ける仕掛けになっています。発言内容に「イエス」なら「↑」、「ノー」なら「↓」、中立なら「→」とそれぞれボタンがあり、それを集計したものが一本のラインとなって発言の間中、画面下の帯状のチャート内を左から右に猛スピードで這っていくのです! 面白そ〜♪
上下に振れながら発言に合わせて突き進むライン。「これに頭が付いてたら、"天才バカボン"のケムンパスそっくり!」(同世代ではなく「?」という方はこちらへ)こう思ったのはなにも私だけはなく、ラインには「ウォーム(ミミズなどの虫)」という立派なあだ名がついていました。「リアクター」などとかしこまった名前が付いたのは今回からのようで、翌日の新聞にはジャンジャン「ウォーム」と書いてありました。

いよいよ開始!初登板ということで、キャンベルはいきなり国民党のドン・ブラッシュ党首を指名して、党の施政方針を聞きます。彼はニュージーランド中央銀行の総裁を14年務めた後、前回選挙で政界入りし、今や最大野党党首としてクラーク首相に挑む人です。(ちなみに趣味はキウイ栽培@@!)彼が話し始めるや、すごい勢いで虫が動き出しました。ただし、「中立」を示す真横一文字に。温厚そうながら練習通りといったサラ〜リとした語り口に、視聴者が反応しかねてるのか、リアクターの使い方に戸惑ってるのか?

ところが、話が国民党のウリである減税にさしかかると、虫がグングン這い上がってきたではないですか!Wow! この手の話にはみんな敏感です。ディベート・ルーキーは終始笑顔を絶やさず、スピーチを卒なくまとめましたが、「党首(=リーダー)」を間違えて「リスナー」と言っちゃった時には、「おいおい、本物の党首が聞き手に回ってどーすんの!」とテレビの前でツっこんでたキウイが大勢いたことでしょう(笑)

そうこうするうちに党首全員の演説が終わり、ここからは本格的な舌戦に。政治家としての腕の見せどころで、紳士的なよそ行きの雰囲気もこの辺まで(笑) キャンベルが「減税」始め、問題となっている「学生ローン」(NZでは大学進学のための国からのローン返済に何十年もかけている国民が多数おり、少しでも早く完済するために高収入を求めて海外へ向かう人が後を絶たず、頭脳流出の元凶と言われています。個人的には学卒者の海外渡航はローン導入以前からあったので理由はそれだけではないと思っていますが、確かに一因とはなっているでしょう)など、みんなが聞きたいところをどんどん振り、虫は上がったり下がったり大忙し・・・(不定期でつづく)

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「マヨネーズ」 
広がる広がる大風呂敷! とうとうこんな話題まで、(不定期でつづく)^^; 

「ライフ・アフター・オイル」は1回書いたきりなのに、原油はどんどん値上りし、さて話はどう落ちるのか?
「不動産チャチャチャ」は成り行き上、気に入った家が見つかるまで細〜く長〜く続きそうな気配。
「キウイ・ベアの冬支度」に至っては、「もう、冬が終わっちゃうんですけどぉ」ってなもんです(汗) 
で、今回は選挙。

さて、この大風呂敷、いつ、どうやってたたまれることやら? 書いてる自分も興味津々です;^^A  それにもかかわらず、総合情報サイト「ニュージー大好き」さんのご好意で、コラムを始めることにしました。よろしければクリッと行ってみてください。こちらからどうぞ。

西蘭みこと