Vol.0367  NZ編 〜不動産チャチャチャ:コヒマラマ〜                    2005年12月17日

私が密かに"オスカー"と"ネイサン"と呼んでいるキウイの友人2人組がいます。この名前を聞いてピンと来るのはニュージーランド在住者だけでしょう。民放TV3の人気司会者2人の名前で、(オスカーは「ネイキッド・サモアンズ」というコメディアン・グループ所属)彼らの掛け合いは、どの番組でも漫才のように笑いを誘います。

友人は1人が70代、もう1人は50代で、外見は本物のオスカーとネイサンに似ても似つかぬアジア系第2世代。英語以外の言語はまったく話せず、マインドや生活ぶりは2人とも奥さんがバリバリの白人ということもあり西洋的で、両親の出身国とは何の縁もなく暮らしている典型的なキウイです。この2人には今や死語となった"つるんで"という形容動詞がぴったりで、いつも一緒にいて、50代のオスカーがツっ込み、70代の好々爺ネイサンがボケ倒すの図。

こんな彼らですが、アジア人としてのルーツを強〜く感じることがひとつだけあります。それは2人とも「お金儲けが大好き♪」ということ。もう朝から晩まで、箸の上げ下ろしまで、
「お金の話でOK!」
という、アジア一円でよ〜く見かけた、私にとってはとても懐かしいタイプの人たちです。70代のネイサンなど、移住してきたのは2歳の時、それでもこのアジア人ぶり。家庭の影響なのか、血筋のなせる業(わざ)なのか
^^

最近の2人の話題は、もっぱら不動産。動きを追ってみましょう。まずはオスカーですが、1年半前に通称コヒと呼ばれている東オークランドの閑静な住宅地コヒマラマで、かなりいいユニット(集合住宅の1戸)の出物を見つけ、オープンホームという下見会に行ったところ閑古鳥が鳴いている状態でした。ところが不動産屋は、
「今日は20人も下見客があった。早く買わないとすぐに売れちゃう。」
とかなり強気。売値は42万ドル(現在の為替で3,700万円)。

              (コヒの住宅街。緑が多く海に近い人気の場所→)


百戦練磨のオスカーは冷静沈着。物件は気に入ったものの、この値段は高すぎると見て、
「35万ドル(3,100万円)なら買う。」
と持ちかけると、不動産屋は呆れて一蹴。
「まっ、気が変わったら連絡してくれ。」
と名刺だけを残して帰ってきました。
翌週も、その次の週もオープンホームは続き、売れた気配はまったくなし。たまたまネイサンがコヒに住んでいるため、
「ちょっと様子を見てきてくれ。」
と頼み、さっそくネイサンが潜入〜。

オープンホームは1時間。ネイサンは最初から最後までいて、その間、不動産屋は人の良さそうなネイサンに、物件の良さをとくとくと説き続けたそうです。というのも、彼以外の下見客はゼロ! 不動産屋も必死です。オープンホームが何週間も続くこと自体、売れ行きが芳しくない証拠で、売主が値段を下げない限り、仲介業者にはきつくなってきます。

翌日、不動産屋からオスカーに電話が入り、
「昨日のオープンホームには50人も来て大盛況。あなたの値段ではチャンスはない。買値を上げて早く買わないと・・・」
と言い出し、今度はオスカーが一蹴。彼はその後、その物件と道を挟んだ反対側にも似たようなユニットが売りに出ているのを知り、さっそく見に行ってきました。売値は41万ドル。1軒目より1万ドル安いものの、物件としては最初のものの方が良かったそう。

オスカーはここでも35万ドルという価格を提示。そして、
「対面のユニットにも同じ値段を提示している。どちらか先に返事してきた方の物件を買う。」
と宣言したそうな! お〜、さすがプロですね♪ もちろん1軒目の不動産屋にもこの旨を伝えました。すぐに2軒目の方が、
「35万ドルでOK。」
と言ってきました。世の中、こんなもんなんですね〜。

「2軒目がOKを出してきたけど、そっちはどうなんだ。」
と、オスカーが1軒目の不動産屋に電話を入れると、あんなに強気だった彼も、
「35万5,000ドルならOK。」
とあっさり。

「プラス5,000ドルなんてみみっちいこと言うな。」
と、けっきょく、35万ドルでお買い上げ〜♪ 先に返事をしてきた2軒目は友人に買わせ、ちゃんと義理を果たすところもプロですね〜。商売は信用第一ですから。2軒目を買った友人は8ヶ月後に41万ドルで売り抜けて手仕舞い。オスカーの方はテナントを入れて賃貸物件としていましたが、
「価格さえ合えば売ってもいいかな・・・」
と、そろそろ手仕舞いモード。

一方の好々爺ネイサン。200万ドル(1.8億ドル)辺りを狙ってオークションに出された物件を気に入り、140万ドル(1.25億ドル)を提示したところ、あっさり一番札で交渉権を得てしまい、これから、
「最低でも180万ドル!」
と言っている売主側との交渉に入るそうです。彼らに言わせると、オークションをやっても札が入らず、実際には示談交渉になっている物件が相当あるそうで、相手がどれぐらい急いで売りたがっているかなど反応を見て、押したり引いたりの駆け引きが繰り広げられるそうです。

毎日お金の話で盛り上がる意気軒昂な2人ですが、オスカー曰く、
「最近は賃貸市場の動きが鈍くなってきている。」
とのことで、供給が増えているのを肌身で感じているようです。実際、キャピタルゲイン狙いで売り抜けようとしていた物件が思う値段で売却できず、賃貸市場に流れており、借り手市場になりつつあるようです。これからも2人の動向を指標の一つとして見せてもらいながら、市場のウォッチを続けていきます。
(不定期でつづく)


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「マヨネーズ」 
前回取り上げた善の歯ですが、おかげさまで抜いた日から痛みはまったくなく、さすがにその日は痛み止めを飲ませていたものの、翌日からは薬もないまま元気に登校しました。ビックリな荒療治ですが「郷に入れば郷に従え」は、今のところ吉です。

西蘭みこと