Vol.0385  生活編 〜ホーム・スイート・ホーム〜             2006年3月29日

小さくて、
平屋で、
4部屋で、
バス・トイレが2つあって、
築50年以上で、
できたら「エックスステート」と呼ばれる、
払い下げられた元公共住宅を改装したもので、
瓦葺きで、
ドアは厚くて大きめで、
窓は大き過ぎず小さ過ぎず、
木の窓枠で、
フレンチドアがあって、
収納スペースが多く、                           
(↑化粧直しされた庶民の家、エックスステート)
ランドリールームがあって、
オープンキッチンではなくダイニングエリアが独立した、
日差しがたっぷり入って明るく、
大きいサンデッキがある家。

昨年6月から始めた家探し。クリスマス以降の夏場には一頓挫してしまいましたが、涼しくなってきたので再開です。なぜ気候と関係があるのかと言うと、オープンホームという下見会は決まって週末のランチタイム。真夏のこの時間帯はかなり暑く、
「行こうかな〜」
と思っていても、つい、
「まぁ、いいか。」
となりがちでした。特に夏休み中は外出したり、子どもの友だちが来ていたりでなかなか都合が合わず、完全に見送っていました。

4年にわたって強気一辺倒だったニュージーランドの不動産市況も、ここに来てかなり一服気味。買いだったらもうちょっと待った方がいいのでしょうが、目の保養も兼ねて再びオープンホーム巡りを始めました。私たち(特に私が)探しているのは、とにかく小ぶりで、こぢんまりとした平屋です。イメージは今住んでいる家に近い、三角屋根の下に四角い部屋が集まった積み木のような家(子どもに言わせると「レゴの家」)を探しています。

今の家も典型的なエックスステートで、第二次大戦直後にこの辺り一帯が開発された時に建てられたもののようです。近所には似たような家がたくさんありますが、2階や部屋を増築したり、外壁を取替え、屋根を葺き替えたりと、かなり手を入れた家も多数あります。パッと見では同時期に建てたように見えない物件もありますが、目が慣れてくるとどれがエックスステートか、見分けがつくようになります。

私たちはエックスステートがとても気に入っています。四角い家には無駄がなく、簡素でいながらしっかりとした造り。その質実剛健さは、
「当時はふんだんに木が伐採できたからいい木を使ってる」
と、モダンな家が好みのキウイの友人も認めるところです。飾り気はなくても、家らしい家であるところが一番の魅力です。木、ガラス、瓦、レンガ、タイル、ステンレス・・・と私でも言い当てられるような素朴な建材で造られており、改装している近所の家も見ても、簡単に代わりの素材や部品が見つかりそうです。

「これで十分だな〜。」
1年半以上暮らしてみて、つくづくそう思いました。オークランドなら冬の寒さも知れており、壁の中や床下に化学物質を埋め込んでまで寒さ対策をする必要はなさそうです。木の窓枠は手入れが大変で隙間風が入ってくるものの、気密性の高いサッシにはないぬくもりがあり、レースのカーテンともいい相性です。妙なペンキでも使わない限りシックハウスとは無縁な、
「火が出たら有害物質も出さずにきれいに灰になってしまいそうな家」
だと思っています(笑)

立地は、
大通りから入った静かな住宅街で、
ニュージーランドに多い袋小路の突端ではなく、
電車の音が聞こえ、
駅からそう遠くない場所で、
大好きなグレン・イネスでの買い物が続けられる東オークランドで、
貯水池、川、海など水の近くで、
家から水が眺められ、
庭が小さくても視界の開けた場所で、
極端な傾斜地ではないフルサイト(当初の区画通りで分割していない土地)を希望と、
あくまで欲張って´▽`

庭は、
芝張りで、
隣の家との境は生垣で、
気配はしても微妙に姿が見えず、
屋根より高い木があり、
夏にはちょうどいい日陰ができ、
ハンモックを吊るして昼寝ができ、
果実の木があって、
トゥイやウグイスなどたくさんの鳥が遊びにきて、
季節ごとに花が咲き乱れ、
ネコがゆっくり昼寝ができ、
子どもがラグビーのパスの練習ができるくらいの裏庭があり、
家から庭へと裏座敷のようなサンデッキで繋がれた・・・。
理想は理想です、ハイ´▽`

こうして書き出してみると、これってほとんど今の家です(笑) うちからは水が見えず、ハンモックが吊るせる枝ぶりの木がない点が違うくらいです。小さくてもフルサイトにこだわるのは、敷地の真ん中に建つ家はどの一角、どの部屋もとても明るく暖かいというのを本当に実感したからです。隣の家や垣根に近いとどうしても暗くなり、冬場の寒さも増すことでしょうから、
「敷地も家も小さくていいからぜひフルサイトを!」
と、思っています。家をぐるりと一周できると、子どもたちが走り回るにはもってこいです。今の家とつい比較してしまうことも、家探しが頓挫しがちな一因かもしれませんね(笑)

ほとんど直さずにそのまま住め、
子どもの学校の学区も変わらず、
自転車に乗れば近所の子どもとの行き来が続けられ、
電話番号も私書箱も変えずに済み、
しかも予算に見合った家――
となると、オークランドの住宅事情に詳しい在住の方には物笑いの種でしょう(笑)

でも、夢はいくら大きくても困らなし、誰に迷惑をかけるものでもないので、時間をかけてでも心に描く、私たちのホーム・スイート・ホームを見つけてみようと思います。


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「マヨネーズ」 物件に比べれば、庭の木の大きさ、古さなど二の次なのでしょうが、私にはかなり重要です。街として時を経た場所ではかなりの家に屋根よりも高い木があり、その眺めは圧倒的な緑と落ち着いた趣の両方を提供し、重ねてきた年月の重みと和みが感じられます。

うちのサンデッキをすっぽり覆う木は天然のパラソルで、それがどんなにありがたいものか。木漏れ日の美しさ、温かさ、清々しさもかけがえのないものです。とまた、この家の話に戻ってしまいました´。`A 
(「うちの木」についてはメルマガ「癒しの大地・慰めの緑 その2」をどうぞ)

西蘭みこと