「西蘭花通信」Vol.0386  生活編 〜からだの声を聞け〜          2006年4月2日

私には長く身につけていると、必ずと言っていいほど体調を崩すものが2つあります。これは長年の経験で気づいたことで、普段はそれらのものをできるだけ身につけないようにしています。しかし、そのうちの1つをつい身につけてしまったため、ただ今、風邪気味です。掟破りの罰に甘んじつつ、自責の念をこめてこのメルマガをお送りしましょう。

これら2つのものとは、ボートネックとタンガーです。男性には「?」かもしれないので、ちょっと解説を。ボートネックとはそのまま"舟形襟"のことで、服の前後が同じような形をしていて、襟が船底のように横に細長く肩の方まで開いている服です。丸首やVネックのように胸元が開かない代わりに、首から肩にかけてのラインがキレイに見えます。

タンガーは後の部分がY字型になった、前の部分よりはるかに小さい下着のことで、"Tバック"と言えば、お心当たりもあるでしょう。「T字がY字になったもの」と思っていただけば、だいたい当たっています。露出部分が大きく、レーシーなものなど見た目もセクシーで男性にも人気がありますが(笑)、ほとんどの女性にとりこれをはく一番の目的は、下着のラインが上にはくスカートやパンツに響かないようにするためです。

私は以前から、ボートネックを着たりタンガーをはいたりすると風邪っぽい症状に見舞われることがたびたびありました。それがわかっていながらつい身につけ、後で後悔したことは数知れず。今回もタイトなスカートをはく機会があり、タンガーで出かけました。戻ってきてから普段着に着替えたものの、下着を替えることは完全に忘れていました。後になって寒気を覚え、頭もボーっとして風邪のような症状が出てきてから、急に思い出し慌てて下着を替えたものの、時すでに遅し。喉がいがらっぽくなり、耳まで痛く、完全に風邪のよう。この相関関係、いったいどういうことなのでしょう?

思うに、私は首の後から背骨にかけてと、背骨の真下辺りの腰の部分に非常に過敏なツボのようなものがあり、その部分を周囲より冷やすと、とたんに体調が悪くなるようです。面白いのは"周囲より冷やす"ことがいけないのであって、肩全体が出るようなデザインやビキニの水着、ローライズと呼ばれるおへその下数センチの低さではくジーンズなど、全体を出してしまうと症状の悪化に見舞われません。

同じことが何度も繰り返されるにつけ、私はこれを「からだからのサイン」だと受け止めるようになりました。大事なツボを冷やしてしまい、そこから入り込んだ"何か悪いもの"と戦うためにからだは自ら体温を上げ、抵抗しているのでしょう。それに気づいていながら、
「あえて体調不良になる服を着ることもなかろう。」
と、ニュージーランドに移住してきてから、最後の1枚だったボートネックの服を救世軍ストアに寄付してしまいました。問題はタンガーです。上に着る服の関係でいまだにそこまで踏ん切りがつきません。そして今回の症状。自業自得です。風邪っぴきの中で手にした本に、今の私には耳の痛い件(くだり)があったので引用してみましょう。

「すべて既成の理論で説明、実証されなければ、公には認めない」という科学の態度は、まだまだ未知のことの方がはるかに多い生命を扱った医学、体育の面でも例外ではない。そのため、本質的に病気が治っていく過程で身体に起こるさまざまな症状――漢方で瞑眩(めいげん)などという反応(たとえば発熱したり、皮膚に発疹したりする)――に対する理解が少なく(中略)、すなわち、「悪いところがあれば切り取る」「熱が上がったら下げる」「咳が出たら止める」といった対処療法的になってしまうことだ。「これは専門分化した現代医学の特徴である」と言ってしまえばそれまでだが、これはどうみても人間を単に複雑な機械としてのみとらえようとしているとしか思えず、そこにきわめて本質的な問題があるように思う。
(甲野善紀著「表の体育 裏の体育」(PHP文庫)より)

風邪の症状が出ている私が、今ここで風邪薬を飲んで症状を抑えてしまえば、
「そもそもなぜそういう症状が出たのか。」
という点が見過ごされてしまいます。今回のように因果関係を自覚している以上、私はそこから改めるべきなのでしょう。その相関性が科学的に実証されていなくても、所詮は自分のからだ、私自身がそのからくりを一番よくわかっています。

今回の香港滞在中に興味深い話を聞きました。ある友人の子どもの同級生のママ、いわゆる「ママ友」は、かなり深刻なガンに侵されていることが発覚しました。年齢も若く、すぐにも化学療法などの治療を施さないと命がない――という待ったなしの状況下、3児の母である彼女は、すべての医療行為を拒んだそうです。その理由は、
「自分がなぜガンになったかわかるから。」
ということで、彼女は故郷のスイスに戻り、一切の生活を改めました。するとどうでしょう?ガンはきれいになくなり、彼女は健康を取り戻したそうです。

「こんなことってあるのね〜。」
と友人と語り合いながら、私の頭に響いていたのは、
「からだの声を聞け。Love your body――」
という言葉でした。自分のからだの声が聞けるなら対話もできるはず――2月7日の44歳の誕生日から始めたジョギングを通じて(これについてはコチラをどうぞ)、いろいろなからだの変化に気づいていた矢先だけに、この気づきは大きな可能性の扉を開くことになりました。これから不定期で、私のからだに起きていることを連載してみます。


    (走り始めて気づいたのは近所の美しさばかりではありませんでした→)



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「マヨネーズ」
「原因はタンガー!」
と断言する私に、
「じゃ、デッカ〜い毛糸のパンツでもはけば?」
と言うのは諦め顔の夫。4月1日は結婚15周年記念、西蘭商店創業1周年記念でしたが、ロマンチックなことも華々しいこともなく、ラグビー観戦で淡々と過ぎました。実際の過ごし方は コチラから。

西蘭みこと