「西蘭花通信」Vol.0412  生活編 〜走る人体実験−秋妻・夏妻〜      2006年9月2日

2月7日の44歳の誕生日から始めた朝のジョギング。月曜日から金曜日までよほど雨でも降っていない限り、毎朝続けてきました。その間の身体の変化を綴っているのが、この不定期連載「走る人体実験」です。間が空いてしまったのでこれまでの経緯を簡単に記しておきましょう。
(詳しいことは発端となった「からだの声を聞け」からの連載でどうぞ↓)
「からだの声を聞け」
「走る人体実験−44歳の試み」
「走る人体実験−25%に向かって」
「走る人体実験−へそは語る」

「走る人体実験−お腹が空かない?!」

「走る人体実験−風景の食事」

「走る人体実験−用意さえ出来ていれば」


お話してきた通り、走り始めた一番の理由は、
「基礎体力をつけたい。」
ということでした。それまでの経験からジョギングではほとんど体重が減らないことを知っていたので、多くの女性が望むダイエットのためであれば別のことをすべきでした。しかし、私がほしかったのは体力。具体的には「骨量」と「筋肉」でした。そのため、減量には目もくれないどころか、この2つが手に入るのであれば体重増もやぶさかではありませんでした。

まず実験その1として、「体脂肪率25%台」を目標にしました。体脂肪が落ちても体重も落ちてしまったら、骨や筋肉が増えたのか判然としないため、
「体重は57キロを維持しながら27〜28%の体脂肪を25%に落とす」
と課題を絞りこみ、2ヶ月で目標を達成しました。体重が変わらずに体脂肪が減ったのですから、骨量か筋肉が増えたことになます。具合的にどうからだがしまったかは、すでにお話した通りです。 ダイエットの究極の目的が体重という数字を減らすことより見た目の改善だとすれば、効果は大いにありました。

次なる目標はズバリ「縦べそ」!
「キュッと上下に引っ張られたおへそ。これこそ筋肉のつき具合を雄弁に語る動かぬ証拠」(メルマガ「走る人体実験−へそは語る」より)
と目標を定め、夏には、
「へそピこと、へそピアスも♪」
と思っていましたが、へそピはあっさり取り止めました。きっかけはここにもたびたび登場する大学時代の仙人系友人、ウニオくんからの一言でした。

「お臍は内臓の一部みたいなもんだから、下手なイジリカタはしないで欲しいと思う」
内臓ノ一部ミタイナモンダカラ・・・仙人に言われると医学的根拠などそっちのけで、非常に説得力があります。「第○チャクラに近い」
(チャクラはサンスクリット語で「輪」のこと。からだの中枢に7ヶ所あるとされるエネルギーのツボ)
など、彼らなりの理由があるのでしょう。これを聞いて即断念。こういう予期せぬアドバイスには強いメッセージを感じ素直に従う方です。そもそも同じような理由で耳のピアスすらしていないので。へそも見送り!

ここからはその後の展開です。走り始めて3ヶ月目に入った4月、秋の深まりを感じる頃、体重計に乗ると「あれ?」と思うことが徐々に増えてきました。体脂肪率がジワジワと上がり始めたのです。走っている距離・時間、食べている物・量など、何も変わっていないはずなのに、一時は25%を切った体脂肪率が26%台、時として27%台と、走り始める前の水準まで戻ってしまったのです。体重は57キロ台で変わらず。走っていても骨か筋肉以上に脂肪が増えている様子。
「リバウンド?それとも踊り場?いずれ何かが変わるの?」
と思っていましたが、5月に入るととうとう27%に落ち着いてしまいました。

その間、気がついた事が2つありました。まず気温が下がってきたため5、6キロ走っても以前のように汗をかかなくなりました。走り始めた2月は北半球の8月。走り終わるころには顎から汗が滴り落ちることもありました。ところが5月は日中でも気温が15度前後、私が走っている朝は10度前後で、芝にびっしりと霜が降りている日も多くなりました。気温が低いと始めは寒くても後は爽快でつい長く走りがちでした。疲れないのです。
            (朝起きると窓が曇っている日が多くなっていました→)

もう1つは老猫2匹が毎日、毎日、それこそ必死で食べるようになったことです。昨年もまったく同じでした。4、5月の食欲は13年も一緒暮らしている飼い主が驚くほどのもので、友人に「秋猫」という言葉を教えてもらって初めて納得しました。服を着ない動物は冬になる前に本能的に皮下脂肪を蓄え、寒い季節を乗り切るのです。そのため「秋猫」は飼い主が惚れ惚れするくらい丸々と太って色艶が良くなって――という訳です。熱帯のシンガポールや亜熱帯の香港ではここまで顕著な変化を感じたことはありませんでした。

汗をかかなければ脂肪もさほど燃えないのでしょう。同じ距離を走っても体力の消耗が少ないのか物足りなさを感じ、とうとうダンベルを持って走り始めたくらいでした。(当時の様子はコチラから) その時は慣れかと思っていましたが、多分に気温という要因が大きかったようです。もう1つの食欲。走り始めてからそれが消えるようになくなり、"お腹が空かない?!" などと言い出し、実験その2「からだが求めるものだけを、欲しいだけ食べる」を実行した結果、食事の量はかなり減りました。

しかし、寒くなるにつれ食べる量が徐々に増え、果物を冷たく感じるようになり、穀類や甘いものの摂取量が走り始める前の水準に戻ってきました。これも慣れや一種のリバウンドかと思っていましたが、もっと自然の摂理に基づいたものだったようで、動物の1種として本格的な冬を前に、自然と脂肪を蓄えていたのではないかと思います。
「"秋猫"ならぬ"秋妻"ねぇ。」
と、同じように体脂肪率が上がってきた夫が言っていたものです(笑) 

実験なのですから変化に慌てたりはしません。因果関係を考えながら受け入れるだけです。
「冬に上がったなら夏には下がるでしょう。猫だって夏には目に見えて痩せるのだから、"夏妻"を目指そう!"真冬にビーチリゾート"という生活はもう完全に過去。今は自然に寄り沿って行けばいい。」
と腹を据え、食べたいだけ食べ、走りたいだけ走り・・・実験は続いていきました。
(つづく)

******************************************************************************************

「マヨネーズ」

今回は「その後のジョギング、どうですか?」という、いくつかいただいたメールへのお返事です。からだの変化もですが、一番の楽しみは季節の移り変わりかも!

西蘭みこと