「西蘭花通信」Vol.0427  生活編  〜女のリアル・ドリーム〜        2007年1月13日

男は夢があることが幸せ。例えかなえる気がなくても。
女はかなう夢しか見ない。例えどんなに大きくても。

もう何十年も前に、多分、まだ日本にいた頃にどこかで読んだこんな内容の一文。非常に印象深く、脳裏にくっきりと刻まれ今に至っています。
「しめしめ、女に生まれて良かった。夢はかなうってことよね・・・。」
と、妙な胸算用も抱きつつ(笑)

社会に出て、図らずもこの教えを思い出すことがしばしばありました。
「ボクがこの部を統括する以上、みんなには3倍働いてもらう。仕事してもらうよ。」
と大見得を切って、1年以内に本国に帰って行った元上司。
「いつか北海道にムツゴロウ王国よりもっとデカい動物の王国を造るんだ。キミ、動物好きみたいだから雇ってやってもいいよ。」
と、海外の土産屋ですでに30代を迎えていたアルバイト先の元同僚。
「こんなにチャンスのある街で起業しないヤツはバカだ。オレは絶対戻ってくる。」
と言い残して帰国、2度と戻ってこなかった駐在員。

「これって本気@@?」
と、目を剥くような男たちの発言は数知れず。しかし、夢を語る本人はいたって明るく朗らか。一言一句明瞭です。アメリカ系の大手ホテルチェーンで働く友人によると、そのホテルではこれを
「オス犬のおしっこ症候群」
と呼んでいるそうです。支配人やホテル業界ではそれ以上に力を持つとも言われるF&B(飲食部門)のトップが替わるたび、彼らは前任者のやり方を全面否定、徹底改革の一大計画をブチ上げ、その端緒が就くか就かないかのうちに3年で異動、後任者も同じことを繰り返す、そうです。

まさにオス犬同士の領土争いをかけたマーキング。これが延々と繰り広げられていくというのです。あぁ、なんだか不毛〜(笑) しかし、私のいた金融業界も大なり小なり同じでした。何度同じような計画が持ち上がっては消えていったことか。そのたびに人事異動があったり、業者を呼んで小部屋を作ったり壊したり。席替えに合わせてこれまた業者や社内のシステム部が徹夜でパソコンや情報端末を移動してみたり戻してみたり。優秀なアシスタントが上司次第で次々に違う仕事をさせられているうちに辞めてしまったり・・・。

大言壮語。かなえるつもりがないのなら、大きく出た方がいいということでしょうか。まさに領土と一緒。治める手腕があるかどうかは二の次で、
「とにかく大きい方がいい。」
という発想なのでしょう。本人たち、有言不実行のギャップには驚くほど無頓着。本当に胸に抱いて大切にしているだけの夢――。

女には、少なくとも私には、ほんの欠片もない発想です。
「夢はかなえてこそ!」
と思っているから方向が決まったらそれに向けてまっしぐら。時間がかかろうが手間がかかろうが、かなえることが最大の愉しみなわけですから、その過程もまた愉しからずや、というわけです。

「都心にマンションを買う。」
「働きながらMBAをとる。」
「部長になる。」
「絶対幸せな再婚をして、離婚の苦しみの元をとる。」
「独立して店を出す。」
「シングルマザーになる。」
「博士号をとる。」
「30キロ痩せて、あの人と結婚する!」
「フルマラソンで完走する」
「クジに当たってアメリカに移民する。」(アメリカ移民はくじ引きです)

周りの女たちの夢はムツゴロウ王国の建設ほど大きなものではなかったものの、みんなかないました。実現するための夢なのだから当然かもしれませんが。彼女たちの奮闘に比べれば、私のニュージーランド移住・永住権取得の夢などささやかなものです。家族からの全面的な協力もありました。シングルマザーであっても次々に夢をかなえていく諸姉に比べたら、
「あら、そう。よかったじゃない。」
の一言で括られるような話です´▽`ゞ それでも、小人には小人に似つかわしい小さな夢がたくさんあります。どれも他人に語るためのものではなく、かなえるための夢です。

昨年はそのうちの一つ、ジョギングを始めました。44歳の誕生日から走り始め、今でも時間が許す限り走っています。今では5、6キロを走ることが苦しみではなく、愉しみになりました。もう一つ、移民前からの夢だったボランティアも始めました。週1回半日だけですがチャリティーショップで働いています。どちらもすっかり生活の一部になり、それが「夢」だったことが今やピンと来ないくらいです。他にも書き出したら切りがないほど細かいことが実現しています。(前回配信の「ソーダ・ライフ」などもその一つです)

今年もいろいろ思い描いていることはありますが、目下の最大の関心事は、地域のフリーペーパーの配達員になることです!週2回、1回1時間という本当の新聞配達に比べたらいたって簡単な内容ですが、ずっしり重いバッグを提げ、自転車を使わずに歩いて、できたら小走りで、配達してみたいのです。

在宅業という頭脳オンリー労働の反動なのか、年々肉体労働への憧れが強まっていたところで出会ったこの仕事。すでに申し込みも済ませました。ぜひ採用されますように(祈) ただ今、腕立て伏せを日課としながら吉報を待っているところ。あとはマウンテンバイクを始めてみること。さて、どうなるでしょうか?

(きっかけは次男・善(9歳)が新聞配達をしている友だちを手伝ったことでした。フリーペーパー配達は、ここでは主に小学生から高校生までの子どもの仕事のようです。採用されたら彼らに混じってがんばりたいと思いまーす→)

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「マヨネーズ」

「新聞配達ぅ?大丈夫、みことさんたち。ヤバいんじゃない?」
と話に尾ひれがついて、あまり親しくない人たちの間で噂になるかもしれないこの手の話。ククククク^m^ 
でも、親しい友人からは、
「わたしも!肉体労働がしたくてスタバに挑戦してみようかと思っているところ。」
というメールが来ています。彼女は香港でかなりセレブな、ゴルフとパーティーとスコッチウイスキーな日々を送っているはずなのに、上には上が・・・@▽@

西蘭みこと