「西蘭花通信」Vol.0464  生活編  〜西蘭家5ヵ年計画〜       2008年4月26日

「これから5年ぐらいかけてこの家を直していくの。今から楽しみだわ。」
かれこれ2年前、私たちより一足先に家を買ったキウイの友人を訪ねた時、彼女が漏らしたこの一言。これがすべての始まりでした。

私たち夫婦はNZに移住するまでに、3回家を買ったことがありました。どれもマンションでしたが、新築だった3軒目以外の2軒は、かなり手直しをしました。1軒目のシンガポールの家は初めてのことで勝手がわからず、「どうせ日中は2人ともいないんだし」と、入居してからも業者に鍵を渡して工事を続けました。仕事を終え疲れて帰宅すると、埃っぽい、塗料のにおいがプンプンする、足跡だらけの家・・・。大失敗でした。

2軒目の香港の家はすでに長男・温が生まれていたこともあり、家賃の支払いとローンの返済のダブルは大変だったものの、入念に改装を済ませてから入居しました。この時の経験から、
「改装は入居前にするに限る」
と固く信じていたところに、友人のこの一言。しかも、それを楽しみにするとは!目から鱗でした。

ちょうど家探しの真っ最中だった私は、この一言でグッと視野が広がりました。
「買う時に"理想のど真ん中"の家でなくてもいい。ここでは住みながら直していくのもアリなんだ。」
と思うと、多少は気が楽になりました。

けっきょく60軒の家を見て、移住以来2年間借りていた家の目と鼻の先で今の家に出会いました。眺め、日当たり、小さいながらも4部屋物件、「エックスステート」と呼ばれる元公共住宅など、望んでいた以上の条件で、願ったり適ったりの物件でした。それでも改装は必須です。

まず、バス・トイレが1つしかなく、私は2つ目を切望しています。アジアでは3部屋のマンションはかなり狭くてもバス・トイレが2つあるのが普通でした。夫婦の寝室であるマスターベッドルームはスイート仕様なのです。シンガポールも香港もそうでした。NZでも借家はそうだったので、それが「標準」だと思い込んでいましたが、家探しを始めてからそうでもないことに気付きました。キッチンやバスルームも決して使い勝手がいいものではなく、ランドリールームは庭に通じるドアがないばかりか、窓さえありません。

引っ越して半年後、新しい家にも慣れてきたところで、念願のマスターベットルームの改装を検討し始めました。バス・トイレを付け、収納スペースを設けてと構想は浮かぶものの、あちこちで話を聞けば聞くほどオークランド市の許認可や業者選びなど、マンションの改装からは想像もできないほど複雑にして、高額になりそうだということがわかりました。改装中の近所の家を見ても、その進行具合の遅さが気になりました。家の横面に穴を開け幌をかけたまま数週間、下手をすれば何ヶ月も暮らすのは不安でした。

そんな時に私の思いつきで、
「ガレージを建て替えない?」
という話になりました。いきなり家に手を入れる前に、ガレージで経験を積むのはどうだろう、と思ったのです。ここでまた先のキウイの友人の登場です。彼女たちが家を買うまで借りていた家はクルマ3台分が入る大きなガレージの2階部分でした。外から見ると独立した家のように見え、立派な玄関もありました。ドアを開けると洒落た階段があり、まるで隠れ家のようです。2階に上がると、ガレージの上だということをすっかり忘れてしまうほど広々としたステキな造りで、大きなデッキもありました。

あの家にヒントを得て、
「ガレージに部屋を付けて離れにしたらどう?どうせクルマが1台しかないんだから2台分のガレージは要らないでしょう?」
と私が言い出すと、夫も話に乗ってきました。すぐに業者選びが始まり、3ヶ月のすったもんだの挙句に中国人建築士サリーが率いる一団に出会ったのでした。ここから先の話は前回のメルマガ「離れの完成に寄せて」に続きます。

つまり、私たちにとり離れの完成は終わりではなく始まりなのです。ここで培った経験や人脈を活かし、いずれは母屋の改装にも着手していきたいと思っています。友人のように5年の時間をかけてこの家を育てていく――、それが「西蘭家5ヵ年計画」です。

(いつかまたこんな光景が?ずっと先のような気もしますが、5年なんてきっとすぐです!→)

【西蘭家5ヵ年計画】
2006年 7月:入居
2007年 5月:窓枠の塗装 8月:離れの建設着工
2008年 4月:離れ完工  5、6月:旧ランドリールームを収納ルームに改装予定
2009年 キッチン、バス改装計画
2010年 マスターベッドルーム化計画 できたらソーラーシステム導入
2011年 ダイニングルーム・デッキ拡張計画、できたらデッキにスパ設置

夫も知らない「5ヵ年計画」´ー`ゞ 今はまったくの机上の空論。というか私の頭の中だけにある計画で、資金もありませんが ̄▽ ̄;、考えるだけでも楽しいものです。2年経ち友人の言っていた「楽しみ」という意味が私にもわかるようになりました。夢は見てこそ!

===========================================================================
「マヨネーズ」
「えぇ、ホントにやるの?」
このメルマガを読んで計画を知った夫が言いそうな一言。
「カネならないぞ。」
これも必ず言うはず´m`; 

でも彼は知っています。資金も気力も体力も時間もすべてが揃う瞬間など、人生にはまずないということを。気力が十分な時機に他の部分が6掛けだったら、GO!その後は現状を見極めながら必死で知恵を絞り、奔走し、あの手この手で成し遂げるのが「うち流」。私は密かに50歳引退を目指しているので、時間はあと4年。奇しくも5ヵ年計画の終了に重なります。ふふふのふ。

西蘭みこと

ホームへ