「西蘭花通信」Vol.0481  生活編 〜ミコト・ザ・アームストロング:寒空の下〜    2009年1月12日

香港・日本への里帰りを前に腕の弛みをなんとかしようと、見よう見まねでマッサージをすること1週間。なんだかイイ感じにほっそりしてきました。毎日触っているので変化がよくわかり、わかればわかるほど熱が入りました。次第に肩と肘の内側が大きく見え始めました。その間の腕が細くなった証拠で、関節部分が相対的に大きく見えだしたのです。
「うわぁ〜、スゴい♪スゴい♪」
あまりの簡単さとその効果に私は嬉々としていました。

8月に入り寒さも心なしか緩み始め、子どもたちの冬休みも終わり、わずかながらも春の気配が感じられるようになりました。雨の多い比較的寒い冬でしたが、特に大きな風邪を引くこともなく健康に過ごせてきたので、
「このまま暖かくなるなら楽勝、楽勝!里帰りから戻ったら春爛漫だろうな。」
と思った矢先、私は突然風邪を引いてしまいました。次男・善(11歳)が風邪をもらってきた後でどうも移ったようです。

風邪を引いたときはいつもそうするようにビタミンCと水をたくさん摂取し、身体を温め早めに休んで様子を見ました。熱といっても微熱、咳や鼻づまりも軽症で医者に行くほどの症状ではありません。仕事や家事を続けならが睡眠時間を多めにとり、なんだかんだと数日で治してしまいました。その後は仕事量を元に戻し、ヨガやボランティアにも行き、いつもの生活に。気温も徐々に上がり体調の回復を図るにはいいタイミングでした。

しかし、風邪はぶりかえしてきました。前よりも症状がやや重く、熱っぽく悪寒がすることもありました。7月よりずっと暖かいというのに寒くて仕方がなく、真冬でもしないほど厚着をし、夜寝るときも掛け布団がめくれているのではないかと思うほど寒く感じられ、パジャマの上に何かを羽織らないと寒さで目が覚めてしまうほどでした。咳が出て、鼻詰まりや胸のゼロゼロもあります。仕方なく風邪薬を飲み昼間から寝ている日もありました。

私は甘く見ていたことを反省し、外出も控え、仕事の締め切りも延ばしてもらい前回よりもさらに慎重に療養に務めました。さすがに数日で回復したものの念には念を入れて厚着を続け、身体を温める食べ物を積極的に摂るなどしていました。
「ここまで良くなればいつも通り。」
と安心した頃、再び症状が悪化。恐るべきことに里帰りに発つ直前まで延々1ヶ月半も風邪のような症状が繰り返されました。

普段から大変健康な私にとり、これは初めての経験でさすがに怖くなってきました。
「肺炎にでもかかったのだろうか?」
「何か別の病気では?」
あれこれ考えても、症状そのものはどれも至って軽いもので発熱も知れていました。ただただ寒気が続き身体が芯まで冷え切っているのです。
「これから3週間も休暇をとるのに大丈夫なんだろうか?」
と思いつつも、心のどこかでは、
「暑い香港に行けば治るかもしれない。」
とドテ勘を信じているところもありました。

果たして、ほとんどベッドから空港へ向かったような状態でありながら、香港に着いた私はピンピンしていました。あんなに詰まっていた鼻や、痰がからんでいた喉もずっとよくなり、数週間もティッシュが手放せなかったことなど遠い話のようでした。見た目はむくんだ病み上がりでしたが、久々に再会する友人たちの知るところではなく、私はTシャツに短パンで毎日元気に飛び回っていました。

(オークランドの真夏より暑い、熱気と圧迫感の香港で完全復活→)

10月の日本でもみんなに「寒くないの?」と言われつつ、Tシャツに短パンで過ごしました。街を行き交う人は季節を先取りしてムートンブーツやストールだというのに、健康を回復したことが嬉しく、季節感のない無粋を承知で夏服を通しました。実際、寒くもなく風邪がぶりかえすこともありませんでした。5年ぶりに行った人間ドックの結果もすこぶる良好だったことは、〜2009年を生きるために〜でもお話した通りです。
「あの1ヵ月半はなんだったんだろう?」
私は不調の原因をずっと考えていました。ぶり返してからはかなり養生したつもりだったので、なおさら気になります。そこまで体力が落ちていたとは思えず、ドックの結果から見ても特定の理由は見当たりません。しかし、ひとつだけ心当たりがありました。それは腕のマッサージです。突拍子もない原因ですが、説明のつかない寒さ、肩から背中にかけての寒気、耳鼻咽喉周辺の諸症状と問題は上半身ばかりでした。

「わきの下の蝶」の撲滅に乗り出したときに始めたことは、腕立て伏せとダンベルを持って走ることでした。効果はマイルドなものでしたが、いずれも脂肪を筋肉に置き換える方法でした。一方で簡単なマッサージは効果覿面でしたが、細くなるだけで筋肉が付くわけではありません。どうやら私は寒空の下、腕の脂肪を物理的に落としてしまったことにより、からだの何かを狂わせてしまったようでした。
(つづく)

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「マヨネーズ」
正気の沙汰とは思えないイスラエルのパレスチナ自治区ガザへの侵攻。イスラム原理主義組織ハマスの制圧が目的とはいえ、すでに900人近い犠牲者を出しそのうち半数が民間人と言われ、戦火は収まる気配がありません。世界各国が同時不況に足下をすくわれ「中東どころじゃない」というタイミングを狙ったのでしょうか。

人類史上決して消える事のない汚点、ホロコーストの悲劇を経験したユダヤ人。彼らが2千年来の夢をかなえて建国した国が何度も何度も繰り広げるこの理不尽。映像を見るたび、ホロコーストで失われた数百万の尊い魂がイスラエル軍戦車に踏みにじられていくような気がしてなりません。

世界のすみずみにまで愛と平和が満ちる日が1日も早く訪れますように。

スライド写真
はロイターより(リンク切れご容赦ください)


西蘭みこと

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