「西蘭花通信」Vol.0562   生活編 〜熱い時代〜                     2012年4月6日

長男・温(18歳)の日本進学が決まり、読者の方からいただいたお祝いメールの中に、
「温さんのがんばりもですが、ご両親の道づくりのがんばりに思いを馳せております。子供が成長することへの喜びというんでしょうか。親はどこからかすごいエネルギーがでますよね。私はもう子育ておわりましたけれど、熱い時代を(あったのです私にも笑)思い出させていただきました」
という件があり、「熱い時代」という一語がとても新鮮でした。

「親はどこからかすごいエネルギーがでますよね」
というのも、さすが年長者の視線。渦中にいたら、なかなか気づかないものです。一通り経験して一段上の段階に進んで、自分の軌跡を外側から見られるようになって、初めて気づくものなのではないでしょうか。西蘭家の場合、移住と子育てが重なり、親子で右往左往しながら暴走機関車状態だった日々が続きました。そんな時代の自分のブログをちょっと振り返えってみると・・・・・

4日(日)  友人の誕生パーティー@友人宅 
5日(月)  香港からのゲストを招いてのランチ@西蘭家 
6日(火)  今週唯一予定がなく「映画の日」なのでハリ・ポタへ
7日(水)  スカウトの忘年会@スカウト 
8日(木)  小学校の年末恒例スクールピクニック@校庭 
9日(金)  子どものタッチラグビーの打ち上げ@西蘭家 
10日(土)  クリスマスパーティー@友人宅 
11日(日)  日本人と日本が好きなキウイの忘年会@西蘭家
2005年12月5日の日記より)

4時間で4キロ、
5時間で5キロ、
6時間で6キロ、
7時間で・・・
これは睡眠時間と走る距離の目安です。一応、健康のことを考えて(ホント?)、こう決めてます。これでいくと最近は5キロが限界。
06年10月3日の日記より)

2008年3月の週末3日間の実際のスケジュールを見ると、
睡眠時間                     16時間 
仕事                        15時間 
パシフィカ(パシフィック・アイランダーのお祭) 6時間
友人のガレージセールの手伝い        6時間 
家事(調理以外)                  6時間 
調理(ガレージセールへの差し入れ込み)   5時間 
休憩、家族やネコとのコミュニケーション    5時間 
自分の時間(シャワー、洗顔、ヨガ等)     4時間 
ラグビー観戦(テレビ観戦で2試合)       3時間 
ネット(メールの返信、検索を含む)       3時間 
どかちん
(離れの工事の関係で急務。この頃は庭に離れを建設中でした) 2時間 
立ち話、電話、工事関係の打ち合わせ    1時間 
合計                        72時間

子どもが小中学校の頃は習い事やスポーツの参加も多く、子どもがらみの行事が目白押しでした。また、移住して数年間は海外からの友人知人の訪問も多く、よく家でもてなしていました。、「太巻きを週30本、月100本以上巻く」というのも珍しくなく、「1ヶ月で延べ100人をもてなす(家族込み)」ということもありませんでした。1回で20人以上のパーティー、10合炊きの炊飯器がフル回転といった日々でした。

移住後3年たち、マイホームを購入して庭に離れを建て始めた2007年は、私の仕事量がピークの頃でもあり、夕食作りまで夫に頼んでいた日々もありました。それでも学校の売店が売るランチは高カロリーのジャンクフードが多かったこともあり(お金をもたせれば、子どもは自然にその手のものを選び、間違っても野菜入りサンドイッチなど買わないものです)、徹夜明けのままお弁当を作ったことも何度もありました。それでも2008年のリーマン・ショック前後から仕事量が減り、金融界の末端にいるのを自覚しましたっけ(笑)

その間に、愛猫ピッピが2007年9月に2回目の悪性リンパ腫で、チャッッチャが2010年12月に糖尿病の悪化と老衰で長い闘病の末に旅立っていきました。あの頃は介護の毎日で、ネコのご飯とトイレを寝室と続き間になった仕事部屋に持ち込んで、寝室で猫たちを寝かせ、少しでも物音がしたらすぐに起きられる体制を整えていました。

「あっ、水を飲んでる」
「あっ、トイレに行った」
「あっ、ベッドに上がってきた」
と猫たちの一挙手一投足が手にとるようにわかる反面、眠りの浅い日々が続きました。

そんな怒涛の時代も今や過去となり、子どもを置いて夫婦だけで食事に出たり、家族旅行にも出かけられるようになりました(猫の介護が続いた5年間は家族揃っての旅行を自粛していました)。子どもの習い事やスポーツも年々減って日本語補習校ぐらいになり、外食の機会も増えました。1年に360回以上夕食を作っていた日々が何年も続いていたのから比べると、隔世の感があります。

西蘭家の「熱い時代」は終わりました。自分や夫のためだけなら、とても同じことはできません。子どものため、病んだ猫のためだからこそできたのだと思います。その間に地平線を押し広げてくれた子どもや猫に、一緒にかの地まで旅してくれた夫に感謝しています。


(週末の忙しさに拍車をかけた善のメイポールダンスチームへの参加。2年間、週末となるとオークランド中を縦横無尽に踊り歩き、ラグビーの試合から直行ということもよくありました→)


子どもやペットを持たなければ知ることのなかった地平線の彼方まで行き、この目で見てきたことは一生の宝です。今まさに、暴走機関車と化して地平線の向こうを突っ走っているご一家、ぜひこの貴重な時期を楽しみながら通過して下さい。

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「マヨネーズ」
キウイの年上の友人ジゼルは3人の娘を育て上げ「熱い時代」を終えたところで、娘の1人がシングルマザーになることに・・・・。母親としてあてにされていることは重々承知しながら、
「また子育てを一からやるのは絶対イヤっ!」
と思った彼女がとった行動とは、保育園の経営でした!!

住宅地に庭の広い一軒家を購入し、一から改装して夫婦で保育園を始め、その後、孫13人を含めて何千人もの子どもたちを送り出しました。今その保育園は事の発端になった娘と後に結婚した夫が引き継ぎ、ジゼルの「第二の熱い時代」は幕となりました。

母となった以上、やるときゃやります!
(でも、ジゼル、スゴい〜!)

西蘭みこと 

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