「西蘭花通信」Vol.0624  生活編 〜2013 年5月〜                     2013年6月11日

学校の秋休みが4月から5月に跨り、知り合いのお子さんで、普段は学校の寮に入っている次男・善(16歳)と同い年の日本人留学生クンと一緒に5月を迎えました。それでも、前々から予定していた結婚22周年記念旅行は決行!4月の仕事を終えるやカレーをたっぷり作り置きし、5月1日に出発しました。(翌日には帰りましたが・・・笑)

留学生クンも一緒だった4月末の家族旅行に続いて、2週連続でファーノースへ。今度は夫と2人。4人で回ったときは西回りのカウリ・コーストと呼ばれるルートでしたが、今回は東回りでパイヒア、ラッセル、ケリケリを訪ねました。これも移住前に下見で訪れた10年前に、家族で回ったルートでした。

どこに行っても懐かしく、感慨深いものがありました。それぐらい変わっていませんでした。ただし、パイヒアの中心部だけは新し目の宿泊施設が建ち並んでいました。
「これだけ新しいものが建っているということは、前に泊まったモーテルはもうないだろうね。」
と話しながらクルマで流していると、2人同時に、
「ここだったんじゃない?」
とレンガ造りのモーテルの前で叫んでしまいました。どうやら残っていたようです。

下見で来ていた頃は、「移住、移住」と歌に歌いながらも、本当に来れるかどうかはわかりませんでした。ロングターム・ビジネス・ビザ(LTBV)という一種の起業家ビザを申請したため、技能移民ビザのようにポイント制で白黒がつくものではありません。全ては移民局の胸先三寸でした。
「絶対に行ける!」
と信じる一方で、
「いつ?」
「本当にLTBVで?」
となると五里夢中でした。

そんな中途半端な時期に訪れたファーノースは最北端のケープレインガの美しさとともに、記憶に残る場所でした。これといった観光名所があるわけでもなく、軒下を歩きながら地方の暮らしを垣間見るような旅でした。マオリが多くアジア人が少ないのも印象に残りました。そんな中で、
「いつか子どもが大きくなったら、2人で来よう。」
と夫婦で話していた場所がありました。それはラッセルのホテル「デューク・オブ・マルボロ」です。


    (ラッセルの顔でもあるホテル。水面に映る灯りが綺麗でした→)

ラッセルはマオリ語でコロラレカと呼ばれ、19世紀初頭のイギリス人入植当時から捕鯨基地として栄え、NZの首都だったこともある古い町です。デューク・オブ・マルボロは1827年に開業したNZ最初のホテルでした。今でこそNZを代表するクラッシクホテルですが、当時は一攫千金を夢見て鯨を追って海に出る荒くれ男のための売春宿でもあったようです(笑) 現在の建物は2度の大火の後、1931年に別の場所にあった1875年に建てられた電話オペレーターの宿舎を船で運んできたものだそうです!

ホテルは何人ものオーナーを経て増改築を繰り返し、2003年にフランス人オーナーが改装したのを機に、今の姿になったようです。2010年からは現在のオーナーに。家族経営のようなアットホームな雰囲気、波の音が聞こえる小さな部屋、海に面した大きなベランダ、美味しい食事とワインと。10年ぶりの再訪は温かく心穏やかなものでした。

帰って数日で秋休みが終わり、善も留学生クンも学校に戻りました。しかし、善は1週間後には、ここ数年ハマっているアメリカのカードゲーム「マジック・ザ・ギャザリング」の大会に招待され、アメリカのサンディエゴへ向いました。未成年なので、主催者から保護者にも飛行機代が出たため夫も同行しました。学校をサボっての1週間。戦績は散々でしたが(笑)、妙な父子旅行、男2人で存分楽しんできたようです。

猫と留守番だった私は仕事に励みつつ、
「メルマガをばんばん書こう!」
と思っていました。しかし、毎日毎日夫からおびただしい数の写真がドロップボックスに送られ、1人で見ているのがもったいなくなってきました。その結果、行ってもいないのに、ブログ「さいらん日和」 「さいらんガーデン」 では連日「サンディエゴ便り」となり、メルマガどころではなくなってしまいました。

(一応リンクを貼っておきます)
サンディエゴ便り:タカさん目線

サンディエゴ便り:がんばれ善!

サンディエゴ便り:男の観光

サンディエゴ便り:トミカな世界
サンディエゴ便り:サンディエゴ動物園

サンディエゴ祭り終了


5月最後の日曜日は再び留学生クンを誘って、4人で離島のカワウ島へ行ってきました。ここもかれこれ9年ぶりの再訪でした。当日は朝まで大雨でしたが、出かける頃には青空が広がりました。90%が私有地で、公道のない島の移動手段は船か徒歩。ピクニックや森林浴をしながら2時間たっぷり歩いてきました。途中で天然のオイスターを石で割って食べたことは、留学生クンにとっていいNZの思い出になったのでは?

そして迎えた5月31日。9年前のこの日に夫名義でLTBVでの移住認可が下り、8年前のこの日に私名義で永住権が取れた、西蘭一家にとっては二重の記念日。 (この話はメルマガ〜5月31日〜でもどうぞ) 来年は移住満10周年。これからの1年もコツコツと地道にやりながら、自分たちが望んでやってきたここでの生活を楽しみつつ、受け入れられた感謝を忘れずにいたいと思います。

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「マヨネーズ」
ラッセルの桟橋で、
「ここで善がベイブレードしてたよなぁ。」
と夫が突然言いました。私には記憶がなかったものの、その一言でグっと過去に引き戻され、一瞬にして10年の歳月を遡ったかのように感じました。その長さ、遠さと同時に短さ、近さも実感する不思議なフラッシュバックでした。長い時間のはずなのに、あっという間でもあり、1日たりとも粗末にはできないと思いました。

西蘭みこと 

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