「西蘭花通信」Vol.0694 スピリチュアル編 〜夢日記:夢の中のうつつ うつつの中の夢〜            2014年6月17日

間が開いてしまいましたが、5月末に配信した〜夢日記:夢かうつつか〜の続きです。前回、
「夢かうつつか判然としない、目覚めたときに、『本当にそこにいて、この経験をした』と実感できるような、やたらに映像が鮮明で、話としても往々に脈絡のある夢を見るようになったのは、東日本大震災がきっかけだったように思います」
と書きました。

その中で、震災直後に大きな赤いリュックを背負い黒いズボンを履き、なぜかシンガポール人旅行者だと思った、背の高い男性を助ける夢を見た話を紹介しました。この夢をいつ見たのかまでは覚えていないのですが、ブログ「さいらん日和」で2011年3月27日の記事にしているので、地震後2週間以内にみていたことになります。曖昧な記憶ですが、震災後数日だったように思います。

瓦礫の間にできた道のような場所を通過しながら、何度も振り返っては「こっち、こっち」と心か頭の中で呟くたびに、男性は顔を挙げ神妙な表情で前を見るものの、私を見ているわけではありません。彼には私の姿は見えないようです。私の呟きは彼の頭の中で、単なる閃きとして浮かんでは消え、消えては浮かぶだけだったのではないでしょうか。私はそこに居ながらにして、居なかったのです。

これを確信したのが昨年末に数年ぶりに読み返した、アメリカ人サイキック(霊能者)シルビア・ブラウン氏の「スピリチュアル・ノート」の中で、"あちら側"の定義として、
「この世界に重なるようにしてある違う次元。だいたい地面から九十センチぐらい上がったところにあります」
という記述を目にした時でした。 (この話については、〜90cm上の世界〜でどうぞ。) これであの時の私と彼の位置関係が理解できました。

圧倒的な高さとありとあらゆる物が積み重なった、この世のものとは思えない瓦礫を見上げながら、私はその間を通過していました。しかし、地面がどんな風になっていたのか全く記憶がありません。物が散乱し、本来は道ではない偶然できた隙間なので、さぞや歩きにくかったでしょうに、歩いていた感覚がないのです。どうやら90cm上の世界を漂っていたようです(笑) 私が「こっち、こっち」と呟くたびに、180cmはありそうな彼が顔を挙げ、遠い目をしていた意味をリアルに理解するところとなりました。

こうした細かいディテールを思い出すことで、『本当にそこにいて、この経験をした』という実感が深まってきます。幸いチラっとでもブログに状況を書き残しておいたので、震災から2年半以上経って読み返した本の記述に、あの時の状況を思い出すことができました。そうでなければ夢の欠片など、そんなに時間が経過してからではどうがんばってもかき集めることはできなかったことでしょう。

しかし、何よりも『本当にそこにいて、この経験をした』と感じたのは、テレビでは決して見ることのなかった、すぐ近くから見上げるようなアングルの瓦礫、さらに、なんとも形容しがたい深く強い臭い、そして想像を超える重い重い空気でした。肺が下がってくるのではないかと思うほどの重さで、不純物だらけの中からなんとか酸素を吸収しようと、内臓がのた打ち回っているような息苦しさに見舞われました。臨場感という一言でさらりと片付けることができない、身体の記憶として残っています。

興味深いことに夢に出てきた、
「運動会の招待席のように小さなテントを張り、積み上げた段ボールに白い布をかぶせて机代わりにした外国人支援カウンター」
に近い映像を、私はNHKで見ていました。自分も外国に暮らす身。どこにあっても、誰であっても「外国人」と呼ばれる人の存在はとても身近です。

あの夢を見たのが、テレビでの映像を見る前だったのか後だったのか今では思い出せませんが、前だったとしたら、夢の中の私は支援カウンターの存在をすでに知っていたのでしょうか?後だったとしたら、旅行者らしいシンガポール人をなんとかそこまで誘導しようとしていたのでしょう。どちらであっても、あの映像を目にしたとき、
「自分のことで精一杯なときに、外国人のことまで。」
と感動し、印象に残りました。

こうなると夢かうつつかではなく、夢の中のうつつ、うつつの中の夢ともいえ、前回取り上げた、
「夢と現実がシームレスにつながった、夢かうつつか判然としない体験」
がより自然に感じられます。起きている間の肉体のある状態と、眠っている間のスピリットだけの状態が、記憶の中でどんどん地続きになり、そのうち、
「あれ?これってホントにあったんだっけ?夢だったんだっけ?」
ということになりそうな一抹の不安も。そんなことを言い出したら、誰にも相手にされなくなりそうです(笑)


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「マヨネーズ」

前回の話から早半月。
「書かなきゃなー」
と思いつつ、次男の青春の記録を優先していたら、昨日の朝になってこれまたリアルな、実際の知り合いを巡る、ドラマのワンシーンのような夢を見ました。
「ナホアパイ!ナホアパイ!」
と、マオリ語の名前を呼びながら目が覚めました。多分、本当に声に出して呼んでいて(傍目には100%寝ぼけた状態・・・笑)、その声で目が覚めたようです。

(一番右の大きな男の子がナホアパイ。その隣が当時10歳の長男・温。ご近所のパジャマパーティーにて。もうあれから10年!→)

「こりゃ、続きを書かねば!」
と、夢に背中を押されるように仕上げました。夢のようなうつつのような体験は、これからどんどん増えていきそうで、いつかは自分が夢の中にいることをわかった上で、スピリットとして翌朝までの時間限定の大冒険に出て行きそうです。

西蘭みこと 

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