「西蘭花通信」Vol.0739 経済・生活編 〜アデレードの子〜     2018年5月19日

「キミが大っきなおみやげでも買おうって言い出さないか、ドキドキするよ。」
と、夫が言うのを聞き流しながら、私たちは5月に入り、夫婦して初めてオーストラリアのアデレードに降り立ちました。普段から何かと好みが合う76歳の友人が、
「オーストラリアで一番いいのはアデレード」

と断言するのに触発され、かなり前から予定を立てていました。

街は想像以上に小さく、国内5番目の都市と言いつつも、シドニー、メルボルン、ブリスベンの三大都市に比べると遥かにこぢんまりした、19世紀のビクトリア時代がそのまま21世紀に息づいているかのようでした。「20分シティー」というあだ名のとおり、中心部であればほとんどの場所に歩いて20分で行けるばかりか、碁盤の目のような通りは観光客にもわかりやすく機能的な街並みでした。

さらにクルマで1時間も行けば、オーストラリアを代表するワイン産地バロッサやクレアバレー、1839年にドイツから宗教的弾圧を逃れて移住したルター派教徒たちのドイツ村ハーンドルフもあり、国内最長のマレー川や野生動物と手つかずの自然が楽しめるカンガルー島もあります。ほぼ南端のアデレードと西の北端ダーウィンを結ぶ大陸縦断鉄道「ザ・ガン」の起点でもあり、オーストラリアらしいアウトバックを体験することもできます。

街歩きを始めて早々に、

「ココ、いいかも!」
と、頭にランプが灯りました。5月という季節も良かったようで、オークランドと変わらない寒からず暑からずな気温で、行楽にはもってこいでした。さらに8回目のオーストラリアにして、それまでで一番充実した食を堪能でき、アデレード熱が一気に上昇しました。市内で2日、郊外で2日過ごし、最終日前日には目をつけていた物件に、
「見るだけならタダ!」
と慎重な夫を引っ張っていきました。
       (ぜひ中に入ってみたくなるような建物が続く街並み→)

それはオーストラリアによくあるホテル兼アパートメント物件で、住んでもよしホテルの1室として貸し出してもよしといったもので、私たちは半年前にサンシャインコーストのヌーサで同様の物件を購入し、オーストラリアでのリゾート投資に乗り出していました。飛び込みで訪れた物件はホテルというよりもよりアパートメントに近い印象で、宿泊客よりも住人の比率の方が高そうに見受けられました。フロントもマンションの管理人室を大きくしたようで、1階のレストランも夜しか営業していないのか無人で電気が消えていました。

オークランドに帰ってからは次男の卒業式だなんだで数日が過ぎ、ふと、
「そういえばあの物件!」
と思って下見してきた物件をググってみたものの、売りに出ている部屋は1室もなく、現在の相場が全くわかりませんでした。しかも、最後に売買があったのは2年前で、小さい街とはいえこの手の商業物件の流動性はかなり低いようです。しかし、調べれば調べるほどアデレードの利回りは悪くなく、物件価格も三大都市どころかヌーサと比べても安いぐらいで、海外や他都市からの資金が入っていないのを実感できるようでした。

「ココはどうだろう?」
過去の取引をググっているうちに偶然見つけた別の物件に目が止まりました。そこは居住できる部屋とホテルとしての部屋が厳格に分かれており、後者には家主といえども住むことはできません。そのせいかアパートメントというより、ぐっとホテルらしい造りでした。私たちは旅先での宿泊は断然ホテルを好み、旅の高揚感と非日常を愉しむためにも生活感が排除されている方が理想でした。

下見してきた物件は管理会社が完全に借り上げ、賃貸物件として貸し出される場合もあるようで、自分が所有する部屋であっても宿泊はできませんでした。しかし、新たに見つけた物件は年間2週間の無料宿泊が保証されています。それだけでも2,000豪ドル(1豪ドル85円換算で17万円)以上の価値があり、毎年アデレードに行くならこれは魅力で、宿泊先としても理想の好立地でした。

「ココ、いいかもよ!」
物件を夫に伝え、売りに出ている部屋の不動産屋のサイトを転送すると、「ドキドキするよ」などと言っていたのとは裏腹に、気に入ったアデレードの高利回り物件というニンジンを自ら鼻先にぶら下げ、ウマ年らしく疾走し始めました。そのスピードたるや暴走に近く、物件を見つけてから週末を挟んで4日目に銀行から融資枠を獲得、その後3日間は不動産屋の仲介で売り手との交渉に費やしました。

最終的に物件を知ってから1週間で交渉成立。部屋どころかホテルを見ることも、不動産屋に会うこともなく購入決定。海外不動産投資も3回目、特にオーストラリアは2回目で、夫の手腕で実に淡々と事が運びました。再び莫大な借金を背負うのに、平常業務の傍らのメールのやり取りで決着しました。売主はホテルを開発したデベロッパー、こちらは投資家ということで、お互い腹のうちや落としどころがよくわかり、打てば響く交渉でした。

こうして2017年7月の「ハワイの子」、11月の「ヌーサの子」に続いて、「アデレードの子」が加わりました。さすがに1年以内に3室はスピードメーターが振り切れる速度ですが、「銀行が貸す」という以上は受けて立つのが私たち(笑) 投資先と物件を私が決め、それ以外の事務手続きを夫が一手に担うというパターンもでき上がっています。このノウハウが今後も別の物件で活かされるのか、次に買うのは自宅を売っての有料老人ホームの1室か、はたまたお墓か?何が先に必要になるかで決まりそう?!

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「マヨネーズ」

またまた銀行で褌調達(笑) ローン長者まっしぐら。とある物件は1ヵ月の収益がたったの75豪ドル(6,400円)で、季節性のある地方投資のリアルを垣間見ました^^;

西蘭みこと 


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