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Vol.0012 「香港編」 〜全員参加型「香港セブンス」観戦〜

もしも香港に住んでいるのなら、毎年恒例の「香港セブンス」観戦を是非お勧めします!楽しいですよ〜。(「そんなこと、終った直後に言うかぁ?」いう声が後ろから…)めったに見られないラグビーの国際大会が身近に見られるから…という表向きの理由もさることながら、それ以外がなかなか侮れないんです。香港のラグビー人口から察して、観客の大半が1年の362日間はラグビーと何ら関係ない生活を送り、この3日間だけ異様に熱い、にわか熱狂ファンに早代わり!っということらしく、誰でも何でもOKな非常にカジュアルな国際試合です。

私は予選の金曜は会社が引けてから直行し、土日は家からおにぎり持参で出かけます。自宅から会場の香港スタジアムまで徒歩で20分以上かかりますが、途中でそれらしきラグビージャージを来たムキムキのおニイさんだの、バリバリにフェイスペイントした各国サポーターだの、コスプレ入ったアフロヘア集団だの、見た目からしてもうフツーじゃない人たちがぞろぞろスタジアム方面に向かって歩いていて、「いるいるぅ〜♪」と嬉しくなってきます。そのうち聞こえてくる、「ワァァァァァァァ〜〜〜」「どぉぉぉぉぉぉぉ〜」という地鳴りのような大歓声。スタジアムはドームが半開きになったような独特なデザインなので、歓声やアナウンスは外まで筒抜け。もうこうなったら、おにぎりしょったまま走って行きたくなります!

会場は招待席以外は全席自由席なので、ここに来る目的で座席が自然と決まってきます。まず「ビールなしでの観戦なんて・・・・」という人は1階席へ。完全燃焼したい人はサウス・スタンドと呼ばれるスコアボードの真下へ…。それ以外は階段状になった3階席へ。

1階席はかぶりつきなので、本国から来ているような熱心なサポーター達が早朝から場所とりをして最前席に陣取っていますが、その合間に「何日前から酔っ払っているの?」と思われるような、午前中からアルコール臭い赤ら顔の年配白人達が、大ジョッキならぬ大紙コップを手に、肩を組んでの大合唱・・・。「ウェールズ対スコットランド」とかでは壮大な歌合戦となり、高校野球の応援団のエール交換状態です。片方が歌っている間は一応大人しく聞き、自分達の番が来たら総立ちで大の大人が「威風堂々」のあのメロディアスな部分をダミ声でハモったりします。酔っ払いが過半数なのでビールと葉巻の匂いとその他もろもろが渦巻く、男性度の高い濃厚な空間となります。

それに比べ3階は階段席で足を滑らせると危ないのでビールは厳禁。当然のことながら応援もしらふでかなり大人しめ。でも位置が高いのでグランドが一望でき、動きが早い試合をしっかり見るにはいい席です。子連れがちゃんと席を確保できるのはここしかないという消去法もあって、西蘭家はここ数年は毎年ここに紛れ込んでいます。家族連れが固まるので子供同士が友達になったり、親も自然と言葉を交わしあったりでなごやかな雰囲気。長男がどこからかお菓子をもらって来れば、次男は知らない人のひざに抱かれていたりといった具合で、まわりはご近所状態。最も女子供度の高いほのぼのとした場所です。

そして噂のサウス・スタンド!朝からビキニでイケイケのおネエさんから、毎年必ず(本当に必ず!)出るストリーキングまで、全員強制参加型のキョーレツな一角です。数千人がほとんど朝から総立ち状態で、遠目からも異様な盛り上がりが良くわかります。でも屋根というものがまったくないので、今年の雨の中でのコスプレは大変だったろうとお察します。それでもビキニは健在だし、夫のチームの独身軍団も一人3万円もかけて(3日間の入場料の3倍!)、本格的なアラブの白装束でキメて(頭にあのワッカまではめて)ました。・・・ウェーブも大体いつもここから始まり、途中で切れると総立ちの数千人がウィーブの切れた当たりを指差して猛烈なブーイング・・・試合どころではありません。ここは3日間全開の、独身率最高空間です。

試合中もスピーカーからガンガン音楽が流れ、「○○ケッコンして〜 ◇◇」、「△△、どこにいるの?サウススタンドの○○に来て!××」なんていうメッセージが電光掲示板にデカデカと出たりと(ちなみにこれは有料ですが、朝から晩まで無数に出ます)、試合ばかりも見てもいられません。いつ掲示板にメチャ面白いメッセージが出るかわからないし、ウェーブが始まったら立ち上がって「ウォォォォ〜〜〜」と思いっ切り背伸びをしなきゃいけないし、いつなんどきサウス・スタンドのフェンスを乗り越えてストリーキングが始まるかもしれないし・・・。あっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロしているうちに、「あぁ〜、トライっ!」尽きない遊び心と全員参加型のノリ。病みつきになります。

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「マヨネーズ」  「次回では試合以外の楽しみ方など・・・。」と結んだのが9日発行の10号・・・ところが前回11号は全く関係ない話に脱線し、「やっと続きが出た〜。」と思ったら、もう「香港セブンス」は早くも1ヶ月前。なんだかおマヌケなタイミングになってしまいました。本当に1週間なんてあっという間。この分だと「移住までまだ3年もあるしな〜」なんて呑気に構えていたら、半泣きな目に遭いそうです。あぁ、時間が欲しい。  そう言いながらも、ワールドサービスのニュージーランド情報のご好意で、「ミニ西蘭家通信」のコラムを週1回から10日おきぐらいに掲載させていただくことになりました。「西蘭家通信」とは違ってNZ100%の内容になる(予定です)ので、こちらの方もお時間があったら覗いて見てください。次回はNZでの永住権取得には全く必要ない、手打ちうどんの作り方をお送りします。

西蘭みこと