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Vol.0014 「NZ・生活編」 〜第一・八次生活への憧れ〜

「ニュージーランドに移住する!」という生活の指針が1年2ヶ月前に決まってからは、「すべての道はNZに続く!」とばかりに、そこを起点に何もかもを考えるようになりました。そのため、移住やその後の生活に必要ないものは容赦なく振るい落とされることに…。ちょうど3年前に「金融業界に長くいるのだから、証券アナリスト試験でも受けてみたらどうだろう?」と途方もないことを思いつき、それほど乗り気という訳でもなかったのですが、5〜6万円払って通信教育に申し込んでみました。

ところが、その1、2ヵ月後にビーズと運命的な再会をしてしまい、教材が送られてきた頃には夜な夜なアクセサリー作りに精を出していて、オフィスに届いたテキストは封も開けられずに積まれたままに。更にそのちょうど1年後。今度は8年ぶりに再訪したNZで、「ここに住もう!」と運命的な決断を下してしまい、大枚をはたいたアナリスト試験のテキストは、とうとうデスクの下で高価な足乗せ台と化してしまいました。

NZに行ったらやりたいことがゴマンとあって、かの地の金融業界でサラリーママをやっている自分というものが全く想像できないため、私の中でこれらのテキストは完全に「不要物」となってしまったのです。その分、長年憧れていたステンドグラス作りを始め、ケーキも焼いてみました。今は手作り石けんを習ってみたいし(ビーズ入りの透けるもの)、いよいよ陶芸にも挑戦したい…と夢が膨らんで、生活全体が手作り一辺倒になってきています。

母親が料理から和洋裁、お花、お茶、着付け、レース編みまで、花嫁修業必須アイテムは何でもこなし、手作りの労を厭わない人だったので、それを横で見ていたせいか、私は器用でもないし根気もないのに、子供の頃から刺繍や編物が好きでした。ミシンが踏めるようになると一通り何でも作ってみました。それが長い海外放浪生活の間、ミシンどころか自分のテレビも持たない生活が何年も続き(海外では家具つきのアパートが普通です)、挙げ句の果てに資本主義の権化のような香港の、消費の王道を極める生活の中で、さすがの手作り好きもすっかり鳴りをひそめてしまいました。

ここでは、自分で編んだら気が遠くなるような凝った編み込みのセーターが3,000円ぐらいで見つかったたり、精緻な刺繍が施されたランチョンマットも数百円で手に入ります。隣接する中国では人件費がタダ同然のように安い地方もまだたくさんあるので、こういうものがフツーに出回り、手作りの価値を根底から崩してしまっているのです。

だから香港人は裁縫どころか、ボタン付けやスカートの裾上げまでお金を払って業者に頼みます。手間いらずで、プロに頼んだ方がきれいにできるという一石二鳥をお金で買っているうちに、本当に針が持てなくなってしまった人が少なくありません。手作りのものが欲しければ中国とのボーダーを越えてシンセンに行きオーダーメードで作ってきます。服、靴、バッグはもちろん、カーテンや家具まで作ってきてしまうのです。自作とは比べ物にならない完成度の高いプロの作品が、かなり割安に手に入ってしまうこうした環境の中では、「自分で作るなんて愚の骨頂、ガンガン稼いでバンバン買っちゃおう!」と消費は加速する一方です。

私はさすがにそこまではついて行けず、シンセンでのショッピングもしたことがないという、在留邦人ではかなり珍しい存在です。子供ができると底無しの消費への違和感がどんどん募り、子供に折り紙を教えながら、一緒に粘土をこねながら、なぜこういうことを苦労しながら一生懸命やり、汚れたり、疲れても最後まで作るのが大切なのか…ということを、自分がきちんと示せる身ではないような気がし始めました。その猛省もあってか久々のビーズ作りには、十代の頃にセーターを編み始めるとついつい徹夜してしまった頃の熱い想いが蘇えり、「手作りって楽しい!」という原点回帰のきっかけになりました。(「それと子供とはカンケーない」という、冷静な夫の意見もありますが…汗)

NZに行ったら何をするのかまだまだ構想の段階ですが、金融という第三次産業の極みの、「付加」という上澄みに「価値」という値段をつけてその間で鞘を抜くような仕事から足を洗い、まったく別の生活を始めようと思っています。自然を相手にする農業や酪農のような第一次産業にも魅かれますが、理想は自分の好きな物を作るという製造業に代表される第二次産業で何かを生み出しながら暮らしていくことです。その片手間に家庭菜園をやったり花を育てたり、動物を飼って世話ができたら最高です。こういう第一・八次生活、限りなく二次、でも二次未満の生活を「いつか必ず・・・・」と夢見ながらで、今日も摩天楼の中に出かけていきます。

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「マヨネーズ」  前回は「手打ちうどんの作り方」なんて呑気に説明している場合ではありませんでした。前々回のマヨネーズで"「ミニ西蘭家通信」は「西蘭家通信」とは違ってぇ・・・"云々と自分のメルマガのタイトルを思いっきり間違えて連呼してました。嗚呼、西蘭家ったら・・・・。書いた私も私なら、読んでOK出して配信した夫も夫。まぁ、みなさんにはどーでもいいことなんですが、一応"西蘭家"ではなく"西蘭花"でぇ、ぶつぶつ・・・・・。せっかくブロッコリー(西蘭花のこと)のイラスト入りでキレイなコラムを作って下さったワールドサービスのニュージーランド情報サマ、ごめんなさい。それから、前回配信の「ほうとう」。煮る時に1リットルの水ではさすがに足りないと思い始め、1.8リットルに訂正します。ねっ?一・八次的生活????失礼しました。

西蘭みこと