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Vol.0033 「NZ・ビーズ編」 〜キウインド〜

ニュージーランドではどの街に行っても、かならずビーズ屋さんを捜すことにしています。車で流している時にチェックを入れたり、モーテルのイエローページで探したり、ツーリストインフォメーションで聞いたりと、短い滞在でもできる限りのことはしてみます。その結果、今のところ4軒のビーズ・ショップを覗くことができました。

そのうちの1軒がオークランドのポンソンビーにある「ビーズ&ピーシーズ」。近くのブティックホテル風、洋館3軒ぶち抜き(2軒だったか?)B&B
「ザ・グレート・ポンソンビー」に泊った時、「この近くにビーズ屋さんってありません?」と宿のおネエさんに聞いてみると、「あるある!私も買ったことがある」と、紹介してくれた店でした。チェックインが済むや否や、そそくさと出かけてみました。

こぢんまりとした店内には一通りのものが揃っていて、全体的に日本より大粒のものが多く、好みのものがかなり見つかりました。日本製でも彼らのチョイスにかかると、日本とはずい分違った品揃えとなり変った色や形が結構揃っています。しかも!私はここで大好きなインドビーズを大量に見つけてしまい、クレジットカード片手にもう買いまくり・・・♪

香港のように"おたま"ですくって買えるわけではないので(香港のビーズ事情は2月3日配信の
"深いビーズの泉にて"でどうぞ)、50粒、100粒と買う場合でも、一粒ずつ数えなくてはいけないのです。香港人はスワロ(フスキー)のキラキラにイチコロで、あまり手作りのぬくもりに価値を見出さないせいかインドビーズは手に入り難く、「香港に帰ったらそうそう手に入らない」という脅迫観念もあって、数えに数え、とうとう千粒単位という途方もないことに。最後はほとんど寄り目&涙目でした。

うつむいたっきり顔を上げない不思議な東洋人に、店番をしていたキレイなアルバイト風のおネエさんたち二人はちょっと引いていて、遠巻きに見ているだけでした。でもビーズトレーと言われるネックレス形に楕円の凹みがついたプラスチックトレーを、一人で何枚使っていてもイヤそうな顔もせず(確かにお客らしいお客もいませんでしたが)、放っておいてくれたのには感謝。うっかり「Can I help you?」なんて声をかけられたら、どこまで数えたかわからなくなり、「また最初から」なんてことになりかねないところでした。

レジにたどりついた時にはもうヘトヘト。頭もク〜ラクラ。さすがにおネエさんたちも数え直すのはヤだったみたいで、すべて私の自己申告通りにレジを打ってくれました。ところが、色と形に分けて何枚かのトレーに乗せて運んだのに、会計が済むやいなや、「あっ!」という間もなく、それらは紙袋にザザ〜〜と一気に流し込まれ、すべて一緒くたに!「あんなにきっちり分けた私の努力は?!」と一瞬思いましたが、これこそが「簡易包装、ゴミ減量への第一歩!」と一介の主婦としてすぐに気を取り直し、たった一袋となってしまった大切なビーズ袋を抱えて店を出ました。

あれから1年半。もちろん使い切っていないので(もったいなくて使えないのがいっぱいあります)、まだ数百粒はあるであろうインドビーズがジャムのビンの中に賑々しく納まりながら、他のビーズと一緒に西蘭家の窓辺に並んでいます。こんなガラスの粒にまで手作りの息遣いというものは残るらしく、インドビーズだけつなげてもなんとも趣のあるアクセ(サリー)になりますが、天然石やパールといった自然のものとの相性はまた抜群です。そして一粒でも使うたびに思い出す、あのポンソンビー界隈。どんなデザインでもNZの思い出つきで、作った時の思いがけない出来栄えの良さは、まさにキウインド・マジック・・・。

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「マヨネーズ」 後から「ビーズ&ピーシーズ」は日本語のガイドブックでも紹介されているのを知りちょっとビックリ。NZ移住の師と仰ぐレディーDによればオークランド在住の日本人奥様御用達ということです。ということは、それ以外にオークランドにはビーズ・ショップがないってことになるのでしょうか?

そうでないことを祈りますが、ひょっとしたら移住後は本当に店を出さないと自分で作る物の材料にも事欠くかもしれません。天然石、珊瑚、淡水パール、ターコイズあたりがもっとザクザク欲しいです。まさか飛行機に乗ってクライストチャーチのビーズアンリミテッドまで買い出しに行くわけにもいかないし。これは商社をやっている女友達のところで丁稚奉公させてもらって、LCの開き方から何から貿易のイロハを勉強した方がいいかもしれません。人様に株なんか薦めている場合ではなさそうです。そして、NZの人にも是非、ビーズを粒で買うのではなく、"おたま"ですくって買う楽しさを味わって欲しいところです。

そう言えば、オークランドでは手芸屋さんでもビーズを買いました。その店はクイーンズ・ストリートとビーチ・ストリートの交差点、カンタベリー・ショップ脇のクイーンズ・アーケード内にあるホームワークスです。数は少なかったけれど、ビーズを見つけたのが嬉しくて、少し残っていた色も形もばらばらなチェコを在庫一掃状態で買いました(・・・と言っても8粒とか13粒といった単位ですが・・)。いくらビーズを持っていても、どこで買ったかは不思議といつまでも忘れないものです。特にホームワークスからのは数が少ないので、手に取るたびに店番をしていた、老眼の鼻めがねで優雅にビーズを数え、「残りのご旅行を心からお楽しみください」と声をかけてくれた、老婦人を思い出します。

西蘭みこと