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Vol.0037 「生活編」 〜英語を習おう〜

スターバックスの前で所在なげに待っていたのは銀髪の中年白人男性でした。軽く挨拶をして二人で店に入ると、「何をお飲みになりますか?」ととても丁寧に聞かれ、「ラテをお願いします。ショートで・・」と言うと、少し戸惑ったように「ラテ?ショートですね?」と聞き返されました。「発音がヘタだったかな…」と思っていると、「そのう、私はコーヒーを飲まないもので。」と、こちらを気遣ってくれてから彼はカウンターの方へ向かいました。

「やはり思った通り。コーヒーはお飲みにならないんですね。」トールの紙コップに並々と入ったあまり美味しそうに見えない紅茶を飲んでいる彼に言うと、映画「インサイダー」のラッセル・クロウを少しエレガントにした感じのベル先生は、「ええ、まあ。」と曖昧に言って話題を変えました。多分スタバに入ったのは初めてで、ラテがコーヒーの一種でそれが普通のコーヒーとどう違うのかもご存じなかったことでしょう。香港にいるちょっと年配のイギリス人にはこんな人もいるのです。

結局、この面接を経て、彼から英語のプライベート・レッスンを受けることに決めました。これまでも移住に向けてケーキやステンドグラス作りを習ったり、脱毛(!)を始めたりしてましたが、準備の一環として夫を始め人に納得してもらうのが難しいものばかりでした。でも英語を習うことにはかなり説得力があります。「ニュージーランドに移住するのだから」と、「キウイの英語の先生募集」と新聞に広告を出したり、知り合いのキウイに片端から英語を教えている友人がいないか聞いてみたりしていたのですが、いかんせんキウイは人数が少な過ぎ見つかりませんでした。日本では"駅前留学"の先生にもかなりキウイがいると聞き羨ましく思ったものですが、とうとう諦めてイギリス人の先生にしました。

そもそも英語を習うのですからイギリス人で文句を言う筋合いはありません。お会いしたベル先生は24年間イギリス軍にいて、退役後に英語教師の資格を取り直したという折り目正しい人で、一目で気に入り契約しました。週2回ランチタイムにオフィスに来てもらい、みっちりしごいてもらうことにしました。あまりにも理想にかなった先生だったので子供たちにも教えてもらうことにし、夫にも勧めたら土曜の午前中という貴重な時間を割いて習うことにしたそうです。これで西蘭家全員の英語がこのベル先生にかかってくることになりました。移住の頃には鼻から抜けるようなバリバリのクイーンズ・イングリッシュが!(話せるといいのですが・・・)

日本の英語教育はアメリカ英語を基準にしており、映画でもテレビでも耳から入って来るのは圧倒的に米語ですが、ここ香港は旧英領、同僚の西洋人の多くはイギリス人で、息子の学校もイギリス系のため先生、父兄もイギリス人やオーストラリア人などクイーンズ・イングリッシュを話す人が主流です。しかも西蘭家はNZに移住するのですから、米語を習う理由は特にない訳です。

ただし、何となく米語メディアの影響力の強さからクイーンズ・イングリッシュは"堅苦しくて、古臭い響きがするもの"で、「How are you?」と言うよりも「What's up?」とやった方がカジュアルでフレンドリーな感じがするのではないかと、その響きの違いもろくにわかりもしないのにそう思いこんでいる面もありました。ですからベル先生とお会いするまで一度も考えたことがなかったのに、彼の美しくも升目正しい英語を聞いているうちに、「クイーンズ・イングリッシュを習おう!」と突然ひらめきました。

「英語を習う目的を教えてもらえないだろうか?」と聞かれ、「まず日常会話。そして、いつになるかわからないけれど自分たちのウェブサイトをバイリンガル化したいのです」と言うと、さすがにポーカーフェイスの彼も3センチくらい引いた感じでした。「そりゃ、引くだろう。この英語では・・・」と内心思いながらも、相手は先生、こちらは生徒。どんな内容でも学びへの意欲は望まれるべきはずのもの。堂々と口にしていいはずです。千里の道も一歩から。アオテアロア(ニュージーランドのこと)目指して「Shall we go?」

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「マヨネーズ」 ある夜、「水着でも買ったら?」と夫に言われ、「明日は雪?」と思うほどビックリしましたが、本当にめったにないことなので二人で出かけました。夏休みに久し振りにバリに行くので、私が水着を欲しがっていたのを突如思い出してくれたらしいのです。香港はデパートや大きなショッピングセンターが夜10時まで開いているので、夕食を食べた後からでも十分買い物ができます。香港系デパートのレーンクロフォード(通称レンクロ)へ行って水着コーナーに行くと、な〜んとNZ製の水着発見!珍品と言っていいくらい見たことない代物です。ハイレグ発祥の地のイスラエル製、リゾート気分いっぱいのオーストラリア製、セクシーで凝ったイタリア製などが並ぶ中、なぜか二枚だけ混じっていたキウイ・ビキニはともに黒一色で下着と見まごうようなシンプルなデザイン。「こんなところまでオールブラックス?」と思いながら、ちょうどサイズが合ったので敬意を表して試着してみました。上のブラ部分は可もなく不可もなく。さて下は?それが、ちょっと・・・・。二枚とも一回り大きいんです。ゆとりがありすぎるというか、とにかく上に比べてワンサイズ大きい気がしました。レア物だったけれど着られないのでは仕方ないので断念。

このメールが配信される頃は、早めの夏休みをとってバリのサヌールでのんびりしている頃です。前半は西蘭家お気に入りの山合いのウブドに4泊、後半はビーチに移りサヌールに3泊する予定です。ヌサドゥアがどんどん開発され、クタが拡張の一途をたどっても西蘭家はハイアット・ホテルの城下町としてこじんまりまとまったサヌール一辺倒。でも久しく行ってないのでどうなっていることか・・・。

西蘭みこと