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Vol.0085 「NZ編」 〜西蘭杯ダービー その3〜

"西蘭杯移住エージェントダービー"にエントリーしている1社から送られてきたアセスメント結果は、以下の通りでした。

GENERAL SKILLS CATEGORY (最も一般的な仕事を見つけて移住する人の一般技能ビザ) − Not eligible (理由:仕事が決まっていない)
FAMILY CATEGORY (家族が移住している人の家族ビザ)− Not eligible (理由:家族がいない)
INVESTOR CATEGORY (資金約6千万円以上用意できる人の投資ビザ) − Not eligible (理由:資金が足りない)
ENTREPRENEUR CATEGORY (LONG TERM BUSINESS VISA−LTBV)、企業家ビザ。当初は永住権ではなく事業ビザで、事業が計画通りに進めば2年後に永住権申請が可能)−Eligible - you appear to meet the requirements of this policy.

この結果が示しているように、仕事を見つけない限り、西蘭家がニュージーランドに移住できる唯一の方法は"起業する"ことに限られてきました。もちろん仕事を見つけられれば一般技能ビザへの申請も可能ですが、「香港からインターネット経由で職探しをして、家族全員が問題なくやっていけるような仕事が簡単に見つかるとは思えない」と、試しもしないで二人で決め込み、今まで求職活動というものは全くしてきませんでした。そんな呑気なことを言っている場合ではないのですが、なんとなく乗り気がせずサボってきたのです。

しかし、夫が11月以降、急に移住の具体化に身を乗り出してきてくれたのは、二人で話し合った挙げ句、「もしかすると起業しか方法がないかも」という結果に強く興味を持ったからでした。私はもともとお手伝いさんを雇うようなライフスタイルのない場所に行ってまで、今の仕事を続けるつもりは毛頭なく、いずれにせよ在宅で何かをしようと思っていました。とは言っても腕に覚えがあるわけでもなく、家計を担えるような収入が得られようはずはありません。かくなる上は漠然と、夫にサラリーマンを続けてもらい、家計を支えてもらおうと思っていました。

移住すれば家賃、学費、お手伝いさん費用という香港ならではの三大出費がなくなるので、稼ぎ手が一人になってもなんとかなるのでは?という甘い読みもありました。自分が家族を置いて日本へ出張し、「環境に優しく自給自足度の高い21世紀型国家、NZに投資しませんか?今なら金利○%で、債券はこんなに高い格付け♪」などと言って金融商品を売り歩く姿というのも想像できませんでした。そういう仕事は香港でこそ"あり"でも、NZでは"なし"にするつもりでした。ただ、「そんなことをしに行くんじゃない」と、個人的に強く思いながらも、その代わりの物がそう簡単に打ち出せるわけでもありません。

結局のところ、私達はお互いの求職活動を最も後回しにしたまま、大学の卒業証明書を取り寄せ、英語の試験を受けと、外堀を埋めているばかりでした。それが"起業"、"在宅"というキーワードに出会い、電球がパパッと二個灯りました。夫は"起業"に、私は"在宅"に反応しました。双方が合わさって"SOHOだ♪"と、二人の思惑がバチッと合った時には、手に手を取り合わんばかりでした。「これで行こう!」、何をするかはともあれ、方法は決まりました。「二人で並んでおうちでお仕事♪、いいじゃないの〜♪」。二人ともすっかりこれが気に入ってしまいました。

これは私にとってはデジャビュでもありました。私はそんな姿を何ヶ月も前に思い描いていたのです。きっかけはおなじみの移住の師、レディーDでした。彼女のご主人はSOHOをなさっていて、あるメールで「オットは在宅ですから、おやつも一緒」というくだりを読んで以降、"海の見えるお庭で、手作りチーズケーキで午後のお茶をいただく一家"というものが、私の中で"移住家族の理想像"として不動のものとなってしまったのです。

そんなに恵まれた移住生活はそうそう可能なものではないのかもしれませんが、「移住するからには、とことん好きな通りにしよう」と、現実に直面していないのをいいことに理想主義にのめり込みました。同僚に半年近くケーキ作りを習ったのも、"海を見ながらの午後のお茶のため"だったと言っても過言ではありません。でもその時点では、理想の実現のためにLTBVを申し込むという発想は全くありませんでした。一般技能ビザのポイントが今ほど高くなる前でもあり、何よりも「在宅で何をするのか」という根本的なところがスポッと抜けていたからです。

しかし、今回のダービー開始で、各馬が一斉にLTBVに向けて突っ走って行くのを双眼鏡でのぞきながら、「あぁ、あれがゴールなのか」と、その先に見えてきたものを再確認した次第です。レースの方はクリスマス休暇で一時中断。男性ジョッキー二人はクリスマス休暇を知らせてきてくれましたが、女性陣は突然の音信不通。ホリデー期間中に抜け駆けするところがないのがNZらしく、誰一人個人メールなど連絡して来てはいません。結構なことです。ということで、どうやら勝負は年明けへ。(つづく)

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「マヨネーズ」  これが年内最後の配信です。週2回、日記よりも更新回数が多いというウルサ型のメルマガですが、お付き合いいただき心からお礼を申しあげます。これもひとえに読者の皆様あってのことです。読者数が少しずつ増え、時々一、二人減ってもすぐにまた元の位置に戻り、その後もジリジリと増えていってくれたことは大きな励みでした。それを声なき声援と勝手に解釈し、感謝しております。来年も西蘭家一同、どうぞよろしくお願い申し上げます。素晴らしい2003年をお迎え下さい。

西蘭みこと