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Vol.0212 「生活編」 〜サリーちゃんに導かれて〜

唐突ですが、私は魔法使いサリーちゃんと知り合いです。"マハリ〜クマハ〜リタ ヤンバラヤンヤンヤン♪ 魔法の国からやって来た、ちょっとチャームな女の子♪"の、あのサリーちゃんです。もちろん昭和40年代からずい分日が経ち、彼女も白いハイソックスにミニスカ姿ではなくなり、立派な大人の魔女となりました。相変わらず人間界におり、アロマセラピストなどという正体を隠すにはもってこいの職業を選んで暮らしていますが、時々惜しげもなく魔女ぶりを発揮してくれます。

私が彼女を「サリーちゃんでは?」と疑いだしたのは、10年前の出会いの当初からでした。容姿はごく普通ながら、声だけは不思議に柔らかい高音で、普通とは周波数が違うようなのです。本人は「私は喉が弱いので」と言ってますが、怪しいものです。私は彼女が一人分の食事を食べたのを見たことがありません。いつもほとんど食べません。食べる必要がないのに、いかにも付き合ってるといった風なのです。会話の端々に「人々が幸せになれますように」といったことが、サラッと出てくるのも妙です。私の周りに「人々」などと言う人は他にいません。

初めてお家にお邪魔した時も、あまりの生活感のなさに仰天しました。広々とした新築マンションの高層階での一人暮らし。リッチで優雅なイマドキな部屋なのに、どうもヘン!家具といいオブジェといい、良くできた映画のセットのようです。非常に"らしい"ものの、そこにある物はほとんど使われている気配がありませんでした。その日は、「魔法のようにおいしいお料理ができる鍋」というものを、見せてもらうために訪ねたのでした。「魔法使いが"魔法のよう"ねぇ?」と思いながら、彼女が作る「梅レンコン」を傍らで見ていると、な〜んと梅とレンコンを混ぜる段になって、化粧箱に入った銀のフォークが出てくるではないですか!普通だったら菜箸でしょう? 「ふふふふふ。人間の生活を真似てハードだけは揃えたものの、ソフトはなかったようね」と、ほくそ笑む私。

今年2月末、飼い猫ピッピが突然ガンを発病した時、とっさにサリーちゃんのことを思い出しました。神頼みならぬ、魔女頼み。しかし、彼女はほうきに乗ってロンドンと東京を行ったり来たりの忙しぶり。「いくらアロマや魔力でも、こんな急性なものにはムリだろう」と、けっきょく声をかけませんでした。そして踏み切った化学療法。あっという間に容態が悪化し、3月19〜20日にかけては危篤状態に陥ってしまいました。

まさにその夜、「久々に今晩一段落しまして、西蘭さんのメルマガを急に思い出し開かせていただいたのですが、ピッピちゃんがたいへんなことに・・・」と、サリーちゃんからクリスマスカード以来の、信じられないようなメールが!そのメールの中に、北海道の"大高酵素"という植物エキスの紹介があり、「これが血液とリンパ液、自律神経を調整し、重病患者を救っています」の一文に目は釘付け。それはまるで"お告げ"のようでした。私は何だかよくわからないままに、「これだ!」と確信しました。さっそく彼女にその動物用の"スーパーワンにゃん"を送ってもらい、届くや否や24日からピッピへの服用を始めました。

その後の回復は、ホームページの「白猫ピッピの闘病日記」の通りです。副作用で消化機能がメタメタになってしまい、それまでさんざん吐いて下していたピッピですが、独特の匂いがある"スーパーワンにゃん"を辛抱強く飲んだ結果、4日目には排便が! 「腸が、生きてる!」と、夫と私は手に手を取って大喜び。その後も紆余曲折はありましたが、けっきょく服用を境に消化機能は明らかに回復しました。食べられれば気力も体力も戻ってくるものです。再びピッピの瞳に光が宿るようになりました。

サリーちゃんからの"お告げ"はまだ続きました。今度は別のメールで、「箱根神社の神様の眷属(けんぞく)である九頭龍(くずりゅう)大神にお祈りすると良いと思います」とあり、「九頭龍大神様守りたまえ、さきはえたまえ」というご祈祷の言葉まで添えられていました。私は「千と千尋の神隠し」に出てきたハクの化身である透けるような龍を想像しながら、朝に夜にピッピを抱いては、買い物の帰りに空を仰いでは祈り続けました。

その直後、日本に里帰りした夫と子供が箱根までお参りに行くことになりました。しかし、夫は当日朝の電話で、「実は場所が相当わかりにくい。子連れだし、無理はしないよ」と、言ってきました。そのため、私は彼らが本当に参拝したのかどうか知らずにいました。午後になると、それまで点滴を受けながら静かに眠っていたピッピが突然目を覚まし、囲っていたケージをガタガタさせて外に出ようとするではないですか!そんな光景を何日も見ていなかったので何事かと駆けつけたほどです。その時ふと見た時計は、2時44分。

後でわかったことですが、夫たちがやっと見つけた九頭龍神社でお参りをしていたのは3時35分から4時前だったというのです。日本と香港は1時間の時差がありますから、ピッピが急に目を覚ましたその瞬間、彼らは間違いなく参拝中でした!「九頭龍様が来てくれたんだね?ピッピには見えたんだね?ママには見えなかったよ。」 私はピッピを抱きながら、狭い部屋を埋め尽くすように、ぐるぐるとうごめく太く白い透ける龍を思い浮かべつつ、言いようのない安堵と安らぎに包まれていました。「九頭龍様、心から感謝します。サリーちゃん、ありがとう。あぁ、もっと部屋をキレイにしておけば良かった。」 
(↑1ヶ月半ぶりに突然食べ始めたピッピ。これで水が飲めるようになれば・・・)

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「マヨネーズ」 最近のサリーちゃんは、「私、地球じゃないところに行ったことがあるんです」と言い出したりして、だんだん本性を顕にしています。何を言われても何を見せられても信じることにしている私は、「はー」とか「へー」とか、畏まって聞くばかり。

西蘭みこと