「西蘭花通信」Vol.0592  生活編 〜夫の優越・妻の憂鬱〜                  2012年8月14日

「あっ、みことさんからメールが来た!」
1メートルと離れていない隣のデスクに座っている夫が言い、配信したばかりの「西蘭花通信」を読み始めます。しばらく無言。
「読み終わりました。」
と言うと、クリック。
「捨てました。」

かと思えば、
「誤字発見!」
と鬼の首でも取ったよう。
「相変わらず厳しいねぇ。」
と言うと
(夫の校正には助けられているものの)
「厳しさの中にキラリと光る優しさ!」
と、意気揚々。

夫という人を一言で言えば、「漲る自信」でしょうか。それに裏打ちされた、決して萎えることのない「ポジティブさ」には、20年以上一緒にいてもほとほと感心させられます。かといって、決して「オレがオレが!」のタイプではなく、根拠のない自信家でもありません。もっと骨太い、持って生まれた前向きさのようです。

普段は地味な作業も厭わず、大変な努力家でもあります。前にメルマガ「多動微動」 でも語ったように、ウサギとカメなら断然カメで、コツコツがんばるほうです。普通なら、「そろそろ引退か?」という40代で始めたラグビーのレフリーは、6年経った今でも続いており、20代の選手や高校生と一緒に走り回っています。

「おっ、蚊だ。」
パシっ!
「捕まえた!」
「スゴい反射神経だな。オレは見逃さない!」
蚊1匹捕まえるにも、1人でこれだけの台詞があるのですから大変です。

庭の離れを貸し出すときに、
「宣伝文句は何にしよう?」
と相談していると、
「『ホテル並みのサービスをご提供しています』は?」
「はぁ〜?どこがホテル?ベッドとシャワーとトイレがあれば、それでホテルなの?」

「もうすぐ『ワインチェンバーズ』のバウチャー
(共同購入サイトで買ったお気に入りのレストランの半額クーポンのこと)の期限が来ちゃう!」
と言うと、
「温と行ってきたら。温はあの手の食事が好きだから。」
「えー!」
と意外な答えに驚くと、
「キミがどうしてもボクと行きたいって言うんだったら、行ってあげてもいいけどね、スポンサーとして。」 「・・・・・・・・・(黙)」

信号のない車道を渡るときは、さっさと1人で渡ってしまい、反対側で胸を反らして、
「勝った!」
と言わんばかり。遅れて渡り終えた私に、
「キミって鈍いね。」

私が風邪を引いて元気がないと、
「キミって弱いね。トシなんじゃない?」
自分が風邪を引くと、
「日頃の疲れが出たのかな?」

私の仕事が立て込むと、
「もっと、がんばりな。」
自分の仕事が立て込むと、
「過労死しないかな?」

体調がすぐれないときになんとか夕食を作り終え、早々に部屋に引き取っていると、食事を終えた夫が戻ってきて、
「体調が悪いのにワルいねぇ。でも、この家ではキミしか作れる人がいないから、体調が悪くてもがんばるように。」
「・・・・・・・・・(黙)」

同年輩の知り合いの男性が再婚して、いつの間にか小さいお子さんが2人もいるのを知ったとたん、
「ボクだってこれから再婚しても、子どもの2人や3人作れるけど、キミはもうムリでしょ!」
と、カカカカカと高笑い。
「・・・・・・・・・(黙)」
        (これをホントに一からやり直したい?温4歳、善1歳→)

夫の自信の源のかなりが、どうやら「元気」、さらに突き詰めれば「若さ」に起因しているよう。それでいけば、4歳年上の妻など、永遠に「斬られ役」な訳です。

前に人から、「ずい分若い奥さんで」と言われて、首をかしげながら帰ってきたことがありました。
「おかしいよね、50の婆さんなのに。」
と、自分以外の人が「若い」と言われたのがとても気に入らない様子。レフリーの話のついでに「お若いですね」と言われるのがたまらなくウレシいようなので、年上の妻が「若い」のは納得できないよう。

「でもさ、『お若い』って言われちゃうこと自体、トシの証明なんじゃない?特に『お』がついちゃうとさ。20代の人に『お若い』なんて言わないじゃない。年齢の割りに若々しくがんばってるからこその、『お』なんじゃない?」
「えーっ!」
『お若い』に喜んでいた夫の自尊心にヒビが・・・・

「それに『ずい分若い奥さん』って言われたってことは、私が何歳かというよりも、私の方がずっと年下の見えたってことで、もしかして、そっちがずっと年上だと思われてるんじゃない?だから『お若い』って、言われるんじゃない?」
とツっこむと、
「えーっ!」
思いもしない妻の解釈&反撃に、夫の自尊心ボロボロ〜

「妻が50で『ずい分若い』んだったら、55、6かもっと上かと思われてたりして〜」
「そっ、そんな〜」
夫の自尊心、粉々〜

自信という守るものがあると、前向きでも脆いものです。私のように常に捨て身だと、強くもないけど弱くもなく、しなやかでしたたかです。
「若いとかトシとか何歳に見えるとか、人の目なんてどーでもいいじゃんね。」
というのが私の本音。それより体重計で測れる『体内年齢』にこだわるほう。これは数字で出るし、自分の努力で変えられるし、他人には関係ないし、外見より内側こそ大事だと思っています。ただ今、29〜32歳を徘徊中なり〜。

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「マヨネーズ」
「生きるガイ(男)だから、生きガイ!どう、どう、どうこれ?」
「寒すぎて肺炎で死にそう。」
夫が飛ばす激寒ダジャレも妻の憂鬱の大きな原因。「ためしてガッテン」の小野アナウンサーかタカさんか。

「キミが死んだら生命保険が入るな。」
と、マジな笑顔。再婚して、子ども2、3人作って、人生バラ色って?!ホント、長生きするよ〜


西蘭みこと 

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